著者
澤島 佑規 矢部 広樹 野村 宜靖 足立 浩孝 村田 真也 田中 善大
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.218-226, 2018 (Released:2018-08-20)
参考文献数
37
被引用文献数
3

【目的】急性期の脳領域の損傷度から回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)退院時の歩行自立度が予測可能か検討することを目的とした。【方法】対象は被殻出血患者115 例とし,退院時のFIM の歩行点数から自立群および非自立群,介助群,不可群に分類した。急性期のCT にて,側脳室レベルの6 領域,松果体レベルの14 領域の計20 領域の全体面積と出血面積を測定し,損傷度(出血面積/ 全体面積× 100)を%値にて算出した。20 領域の損傷度に加えて出血量,脳室穿破の有無を測定し,ロジスティック回帰分析およびROC 解析にて歩行の自立/非自立,介助/不可を判別するカットオフ値を算出した。【結果】歩行自立/非自立は内包後脚中部の損傷度(60.4%)と出血量(27.4 ml),歩行介助/不可は内包後脚前部の損傷度(16.8%)が有意に抽出された。【結論】内包後脚前部と中部の損傷度,出血量から歩行自立度の予測が可能であると示唆された。
著者
上野 奨太 髙屋 成利 増田 知子 吉尾 雅春
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12246, (Released:2022-10-05)
参考文献数
42

【目的】脳卒中患者の歩行練習において,長下肢装具から短下肢装具への移行に要する日数に関連する入院時因子を探索的に調べること。【方法】対象は回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)で長下肢装具を使用して歩行練習を行った片側大脳半球損傷の脳卒中患者200名。長下肢装具を使用した練習日数を目的変数,入院時の各種評価項目を説明変数とする重回帰分析を行って関連する因子を探索した。【結果】下肢Brunnstrom Recovery Stage, Scale for Contraversive Pushing合計点,Functional Independence Measure運動項目および年齢が関連因子として検出された。【結論】回復期病棟入院時の下肢運動麻痺の回復ステージが低く,Pushingの程度が強く,機能的自立度の運動項目が低く,年齢が高いほど,長下肢装具を使用する練習期間が長期に及びやすいことが分かった。
著者
川端 悠士 澄川 泰弘 林 真美 武市 理史 後藤 圭太 藤森 里美 小原 成美
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.347-354, 2014-10-20 (Released:2017-06-13)
被引用文献数
2

【目的】大腿骨近位部骨折例における杖歩行の可否,歩行速度に影響を与える要因をあきらかにすることとした。【方法】対象は大腿骨近位部骨折術例104例とし,1本杖を使用して50m連続歩行が可能か否かで歩行可能群61例,介助群43例に分類した。調査項目は年齢,性別,身長,骨折型,術後経過日数とし,測定項目は健患側等尺性股関節外転筋力,健患側等尺性膝関節伸展筋力,疼痛,脚長差,10m歩行速度とした。多重ロジスティック回帰分析および重回帰分析を使用して杖歩行の可否,歩行速度に影響を与える要因を検討した。【結果】杖歩行の可否に影響を与える要因として患側股関節外転筋力と疼痛が(正判別率74.0%),歩行速度に影響を与える要因として患側膝関節伸展筋力と年齢が抽出された(決定係数:0.48)。【結論】杖歩行の可否を決定する要因と歩行速度を決定する要因は異なり,杖歩行獲得には患側股関節外転筋力の向上と疼痛の軽減が,歩行速度向上には患側膝関節伸展筋力の向上が必要と考えられた。
著者
徳久 謙太郎 鶴田 佳世 宇都 いづみ 梛野 浩司 岡田 洋平 生野 公貴 高取 克彦 松尾 篤 冷水 誠 庄本 康治
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.267-272, 2007-10-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
15
被引用文献数
20

我々はハンドヘルドダイナモメーター(HHD)を使用した,徒手による等尺性膝伸展筋力測定の際に問題となる「検者のHHD固定能力不足」を改善した新しい測定方法を考案した。本研究の目的は,虚弱高齢者を対象に,この新測定法の男女検者間再現性,妥当性,簡便性を明らかにし,本法の臨床的有用性を検討することである。対象は当院通所リハビリテーションを利用している虚弱高齢者31名(男性9名,女性22名,平均年齢81.6±6.1歳)である。各対象者に対して等尺性膝伸展筋力測定を,本法にて男女検者が1回ずつ,ベルトでHHDを固定する方法(ベルト法)にて1回,合計3回実施した。また本法とベルト法による筋力測定所要時間を検者にマスクした状態で測定した。結果として,男・女性検者による本法での測定値間の級内相関係数は0.96であり,男女検者間再現性は良好であった。本法(男・女検者)とベルト法での測定値の3群間に統計学的有意差は認められず,ベルト法と本法での測定値間の級内相関係数は,男性検者で0.89,女性検者で0.90であり,併存的妥当性は良好であった。本法による1回の筋力測定所要時間は,ベルト法より有意に短く(p<0.05),平均2分12秒であった。この新測定法は虚弱高齢者の等尺性膝伸展筋力測定を行うにあたり,臨床的に有用な測定方法であることが示唆された。
著者
八木 拓磨 井上 達朗 小川 真人 岡村 正嗣 島田 雄輔 平郡 康則 岡田 梨沙 岩田 脩聡
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12148, (Released:2022-05-20)
参考文献数
29

【目的】回復期リハビリテーション(以下,回リハ)病棟に入棟した患者のサルコペニアが実績指数に与える影響を明らかにすること。【方法】2019年5月~2020年6月に単一の回リハ病棟に入棟した65歳以上の連続症例128例。主要アウトカムは日常生活動作能力の改善度を示す実績指数とした。サルコペニアと実績指数の関連について重回帰分析を実施した。【結果】対象者(平均年齢81.5歳)のうちサルコペニアの有病率は76.6%であり,サルコペニア群の実績指数は非サルコペニア群と比較して有意に低値を示した(サルコペニア群:42.2 vs.非サルコペニア群:52.2, p=0.039)。重回帰分析の結果,サルコペニアは独立して実績指数と関連していた(β=−20.91, p=0.003)。また,Skeletal Muscle Mass Index(β=−18.82, p=0.008)が独立して実績指数と関連していた。【結論】回リハ病棟入棟患者のサルコペニアは実績指数の独立した予測因子であった。
著者
永雄 総一
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.836-837, 2015 (Released:2016-01-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1