著者
野川 道子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.39-48, 2004-09-15 (Released:2012-10-29)
参考文献数
27
被引用文献数
3 4

本研究の目的はMishel Uncertainty in Illness Scale-Community Form (MUIS-C) 日本語版の信頼性と妥当性を検討することである. MUIS-Cは慢性疾患患者または家族の不確かさを測定する用具として開発された尺度であることより, 調査は外来通院中の自己免疫疾患患者と2型糖尿病患者の協力を得て行った.信頼性のうち内的整合性に関してはCronbach's α係数が0.82~0.88, 折半法のSpearman-Brownは0.71~0.86であり, 十分な内的整合性が確認された. しかし, 糖尿病患者を対象とした再テスト法ではr=0.61であり, 0.7の基準をやや下回る結果であった.妥当性についてみると, 回答はそれぞれの疾患の臨床的特徴を反映したものであり臨床的妥当性は確保された. 併存的妥当性についてはMUIS-CとPAIDとの相関係数が0.41であり, 一定程度確保された. 構成概念妥当性についてはMishelの不確かさの概念モデルに照らして, 適応に対応すると考えられる主観的QOLを従属変数として重回帰分析を行ったところ, 不確かさ, 病状の不安定さ, ソーシャルサポートが関連していることが示された.以上の結果より, MUIS-C日本語版は今後洗練する必要があるが, 臨床での使用基準を満たしていると考えられる.
著者
佐々木 栄子 西村 歌織 唐津 ふさ 野川 道子 サカイ ヨシコ ニシムラ カオリ カラツ フサ ノガワ ミチコ Yoshiko SASAKI Kaori NISHIMURA Fusa KARATSU Michiko NOGAWA
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部学会誌 = Journal of School of Nursing and Social Services, Health Sciences University of Hokkaido
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.35-41, 2008-03-31

本研究の目的はパーキンソン病患者の療養生活の受けとめと症状・日常生活動作との関連を明らかにすることである.パーキンソン病患者152名に自己記入式質問紙郵送調査を行った.調査内容は基本属性,重症度,症状,ADL,療養生活の受けとめで,療養生活の受けとめについては療養生活の受けとめ尺度を用いた.療養生活の受けとめ尺度の総得点は最小値24、最大値68,平均値49.0(SD=9.0)であった.ステップワイズ重回帰分析(p<0.05)を行った結果,療養生活の受けとめの要因として有意な関連がみられたのは「幻覚・妄想の程度」(β=.361)「排泄の自立度」(β=.289)であり,これらの2変数で分散の24.5%が説明された.また,下位尺度「主導権の喪失」の要因として有意な関連がみられたのは「不随意運動の出現時間」(β=.360)「入浴の自立度」(β=.266)であり,2変数で分散の26.2%が説明された.