著者
萬田 正治 浦田 克博 野日 鉄也 渡邉 昭三
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.362-367, 1994-04-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

塩味(塩化ナトリウム),酸味(酢酸),甘味(ショ糖),苦味(カフェイン),旨味(グルタミン酸ナトリウム)およびアルコール(エタノール)に対する牛の味覚反応を2瓶選択法で調べた.これらの味物質を水道水に溶かしてそれぞれ7段階の濃度を設定し,低濃度から高濃度へ向けて実験を行なった.各濃度における総飲水量に対する試験液の摂取割合を選好指数とし,濃度上昇に伴う選好指数の推移を味覚反応曲線として表し,味覚反応を推察した.χ2-検定により,選好指数39.7%以上から60.3%未満は不弁別範囲,60.3%以上は選好範囲,39.7%未満は拒絶範囲と定義した.塩味物質は濃度1.25%で弱い拒絶反応を示した以外はほとんど水と弁別されなかった.牛は酸味物質に対して全体的に拒絶反応を示し,特に濃度0.08%以上では強い拒絶反応を示した.甘味物質は濃度0.16%から1.25%まではほとんど水と弁別されなかったが,2.5%以上では嗜好を示し,5.0%で最も強い嗜好を示した.苦味物質は濃度0.01%で弱い嗜好を示した以外はほとんど水と弁別されなかった.旨味物質は濃度0.08%以上では嗜好を示し,濃度0.63%で最も強い嗜好を示した.牛はアルコール物質に対して濃度1.6%で弱い嗜好を示した以外はほとんど水と弁別せず,濃度の上昇ににつれて強い拒絶反応を示した.