- 著者
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浦田 克博
萬田 正治
渡邉 昭三
- 出版者
- 公益社団法人 日本畜産学会
- 雑誌
- 日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.3, pp.325-331, 1992-03-25 (Released:2008-03-10)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
1
塩味(塩化ナトリウム),酸味(酢酸),甘味(ブドウ糖),苦味(塩酸キニーネ),旨味(グルタミン酸ナトリウム)に対する鶏•鶉の味覚反応を2瓶選択法で調べた.これらの味物質を水道水に溶かしてそれぞれ11段階の濃度を設定し,低濃度から高濃度へ向けて実験を行なった.各濃度における総飲水量に対する試験液の摂取割合を選好指数とし,濃度上昇に伴う選好指数の推移を味覚反応曲線として表し,味覚反応を推察した.X2-検定により,選好指数39.7%から60.3%は不弁別範囲,60.3%以上は嗜好範囲,39.7%以下は拒絶範囲と定義した.塩味の濃度は鶏が0.64%,鶉が1.28%まで弁別せず,鶏が1.28%,鶉が2.5%以上で拒絶反応を示した.酸味の濃度は鶏が0.04%,鶉が0.16%まで弁別せず,鶏が0.08%,鶉が0.32%以上で拒絶反応を示した.甘味の濃度は鶏が20%まで弁別せず,鶉は1.28%と2.5%で弱い嗜好を示した.苦味の濃度は鶏が0.02%まで弁別せず0.04%以上で拒絶反応を示し,鶉は0.32%まで弁別しなかった.旨味の濃度は鶏が0.64%,鶉が5%まで弁別せず,鶏が1.28%以上,鶉が10%で拒絶反応を示した,以上の結果より,鶏と鶉は特に強い嗜好を示す味物質はないことと,鶏は鶉より味覚が敏感であることが明らかとなった.