著者
田中 萌生 野本 優二 土田 恵美子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.247-251, 2021 (Released:2021-07-29)
参考文献数
18

Pancoast腫瘍は比較的稀な疾患であるが,腫瘍が神経叢を侵すためしばしば強い痛みを伴いその疼痛コントロールに苦慮する.またPancoast腫瘍では放射線治療ががんそのものの治療としてだけでなく除痛目的としても選択されることが多い.Pancoast腫瘍の放射線治療は頭部固定具を用いて治療体位の再現性がよいことを確認してから治療を行う.このため安静保持の必要があるが,その強い痛みで安静保持ができない場合は治療困難となる.今回Pancoast腫瘍による強い上肢痛があり,安静仰臥位を保つことが困難であった患者に対して持続頸部硬膜外ブロックで疼痛コントロールを行い,放射線治療を完遂できた症例を経験した.硬膜外カテーテル留置による感染や出血のリスクとの兼ね合いはあるが,本疾患で疼痛コントロールに苦慮する場合は持続頸部硬膜外ブロックの併用が提案される.
著者
矢部 正浩 野本 優二 山添 優 吉川 博子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.1146-1148, 2005-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

53歳,男性.フィリピンからの帰国時より左小指の腫脹,発疹,両上肢遠位部の関節痛と強ばり,右肩痛,発熱がみられた.身体所見では右肩関節の可動制限と両小指に直径3mm程度の中心紫色で周辺やや発赤した丘疹を各一個認めた.核左方移動を伴った白血球増加とCRPの軽度上昇を認めたが他に異常なし.入院後右手関節屈側の腱鞘炎も出現.血液培養から淋菌を検出し播種性淋菌感染症による敗血症と診断.セフェム系抗菌薬投与にて治癒.性感染症予防対応を患者に伝えた.