著者
野村 孔命 力武 健次 松本 亮介
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-41, no.24, pp.1-6, 2018-05-10

データベースの情報を利用して動作する Web アプリケーションでは,入力検証やクエリ発行処理の脆弱性により,開発者の想定していない不正クエリがデータベースに発行され機密情報を窃取される攻撃が発生する.このような攻撃に対して,Web アプリケーションがデータベースに発行するクエリのホワイトリストを作成し不正クエリの検知を行う方法がとられてきたが,Web アプリケーションの大規模化や実装言語の多様化に伴いホワイトリストの作成が難しくなっている.そのため,Web アプリケーション解析や運用時のクエリを用いた学習により生成を用いてホワイトリスト作り,検知する手法が提案されている.しかし,手法が実装言語依存の問題や Web アプリケーションの仕様変更の頻度が高いことによるホワイトリストの管理が難しい問題がある.本稿では,Web アプリケーションの動作を保証するためのテストがあり,Web アプリケーションの更新に追従してテストの更新が行われる開発プロセスが採用されていることを前提とし,テスト時に発行されるクエリからホワイトリストを自動作成する手法を提案する.Web アプリケーションの運用時には作成されたホワイトリストを用いて不正クエリを検知する.提案手法は,Web アプリケーションの複雑性や実装言語に依存せずにクエリのホワイトリストを自動作成することができ,新クエリが実装された場合もテストの更新に伴いホワイトリストが更新される.また,検知されたクエリはテストされていないクエリもしくは不正クエリであり,これらを早期に発見することで原因となる Web アプリケーションの脆弱性が長期化することを防ぐことができる.
著者
野村 孔命 髙島 康裕 中村 祐一
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2016-EMB-40, no.33, pp.1-6, 2016-03-17

本稿では,タスクの実行時間と Processing Element(PE) の消費電力がばらつくシステムにおいてのスケジューリング手法を提案する.近年,実行時間と消費電力のばらつきを考慮したタスクの割り当てとスケジューリング (TAS) は,マルチプロセッサシステムが正しく動作するために必要である.従来手法では,TAS を行った後,実行時間と電力の歩留まりを評価していた.しかし,この方法では目標となる歩留まりを得るまでに,何度も TAS を実行しなければならず,設計時間が膨大になってしまう.そこで,本稿では,両ばらつきが正規分布に従うという仮定に基づいて,まず,電力制約をある確率で満たす PE の組み合わせを計算し,その組み合わせだけを利用した上で実行時間最小となる Power and Execution Variation-Aware Scheduling(PEVaS) を提案する.実験により,従来手法と比較し,性能が向上していることを確認した.