著者
野村 孝徳 沼田 卓久 似内 映之
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

コヒーレントディジタルホログラフィを用いた形状および反射特性の計測手法を提案した.低コヒーレントディジタルホログラム群から試料の形状および反射特性を求める手法を提案し実験的に実証した.さらに計測精度向上のため,精度低下の要因となるスペックル雑音の影響を低減する信号処理的アプローチを提案した.いずれもディジタルホログラム群から得られた再生画像群に対し信号処理を施した.局所統計量に基づく(1)局所平均法,(2)局所分散法と,光源のスペクトル分布に基づく(3)曲線近似法の3種類を提案した.(1)は他の再生画素と比較してスペックル雑音の輝度が極めて大きいまたは小さいことを利用したもの,(2)はフォーカス位置ではスペックルのコントラストが最大となることを利用したもの,(3)はある画素に着目した場合,再生画像群内でその画素の輝度の変化は光源のスペクトル分布に従うことを利用したものである.(3)に関しては光源のスペクトル分布をガウス分布とし非線形最小自乗法により曲線近似をおこなった.これらの手法を適用した結果,適用前と比較して形状計測の精度が向上した.特に(3)の手法が有効であり,適用前は30%程度あった,レーザー変位計による形状計測結果との差を数%以下にすることに成功した.ワンショット位相シフト法を実現する手法として波面分割法を2種類(検光子アレイを用いるものと位相子アレイを用いるもの)を提案した.前者は光学実験データを用いた模擬実験により,後者は偏光イメージングカメラ用いた実験的により,それぞれの有用性を示した.