著者
野津 加奈子 山崎 裕司
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 = Journal of Kochi Rehabilitation Institute (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.63-66, 2007-03-31

認知症患者の立ち上がり動作練習への参加行動を促進するため,行動分析を用いた介入を実施し,その効果についてシングルケースデザインを用いて検討した.対象は,脳梗塞,左大腿骨頚部骨折,心不全の既往を有する89歳の高齢患者である.介入時点での日常生活動作は全介助で,立ち上がり練習場面では指示に従うことはまったく不可能であった.介入では,上肢のリーチ位置を明示した視覚的プロンプトを設置した.そして,動作遂行の試みを賞賛や注目によってシェイピングした.その結果,立ち上がり練習頻度は徐々に増加し,設定した立ち上がり練習課題をすべて遂行することが可能となった.認知症患者の動作練習において視覚的プロンプト,シェイピングなどの技法の有効性が示唆された.