著者
野添 潤一 五味 裕章 党 建武 本多 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.1944-1953, 2005-09-01
参考文献数
21
被引用文献数
7

人は, 舌・顎・唇などの複数の調音器官を巧みに操ることで発話を行っている. 特に, 唇は舌と並んで, 柔軟な変形や微妙なせばめを実現し, 音声の共鳴を制御している. 本研究では, この発話時における口唇形状の形成メカニズムを構成的に探るため, MRIデータから唇, 上・下顎などの器官及び口唇周囲筋の構造データを抽出し, 3Dばね-ダンパ-マス系及び筋収縮ダイナミックスモデルを用いて口唇の力学モデルを構築した. 特に口輪筋は, 従来から知られている機能的4分割に加え, 口輪筋辺縁部と周辺部に分割し, それらの詳細な形状をモデルに反映させた. その結果, それらの筋の部分的収縮により, 唇の突出しやすぼめなどの様々な発声に必要な豊かな口唇形状形成が可能になることを示した.