著者
野田 さおり
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.673-674, 2015 (Released:2016-01-15)
参考文献数
1
著者
佐々木 八千代 野田 さおり 白井 みどり
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.83-90, 2021-04-30 (Released:2021-08-01)
参考文献数
35

介護予防通所介護を利用する高齢者を対象としたコホート研究のベースラインデータを用いて軽度認知障害(MCI)とその関連要因について検討した。対象の登録は2017年3月と2018年3月とし,聴力測定,日本版 Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)による認知機能検査,自記式質問紙調査を実施した。MoCA-Jの得点が25点以下をMCI, 26点以上を健常に分類した。ロジスティック回帰分析で多要因の影響を調整し,MCIに関するオッズ比(OR)を算出した。本研究の登録者は296人で,認知機能低下者は217人(73%)であった。登録者のうち,質問紙の回答が得られた272人を解析対象とした。年齢が上がるほど,MCIを有する者が多くなっており(65-79歳に対し80-84歳においてOR=2.18,85歳以上においてOR=6.56),糖尿病の既往があるものでMCIに対するORが上昇していた(OR=3.06)。一方,MCIに対するオッズ比が低下したものは,女性(OR=0.46),脳血管疾患の既往あり(OR=0.30),心疾患の既往あり(OR=0.39)であった。また,老研式活動能力指標の得点が上がるほどMCIを有する者の割合が少なくなっていた(1-9点に対し10-11点においてOR=0.20,12点以上においてOR=0.37)。本研究の結果から,加齢や糖尿病はMCIのリスクである可能性が示唆された。