著者
木部 久衛 野田 恵利子 唐澤 豊
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.882-888, 1981
被引用文献数
1

材料草の違いがサイレージの埋蔵過程における品質ならびに微生物相にどのような影響をおよぼすかを調査するため,出穂前期のオーチャードグラスを用い,これを切断長によりA区(0.5cm),B区(1.0cm),C区(3.0cm),およびD区(5.0cm)の4区に分け,それぞれ細切後大型試験管に詰め,発酵栓をほどこして56日間貯蔵した.得られた結果は以下のとおりである.1. 材料草を細切することにより埋蔵初期における乳酸菌のいちじるしい増殖を促し,pHを急速に低下させた.2. サイレージの埋蔵過程における発酵的品質は細切するほど向上し,切断長が0.5cmの場合に最もよい結果が得られた.サイレージのpH,揮発性塩基態窒素比率,酪酸ならびに全揮発性脂肪酸含量は,A区の場合がB, CおよびD区の場合に比較して最も低かった.また細切することにより乳酸含量は増加した.