著者
山田 健一 野田 政春 野口 忠広 熊本 勝己
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.158-163, 1983-10-30 (Released:2009-05-22)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

1.チャバネアオカメムシの越冬密度を知る方法として,篩法は効率的で精度の高い調査法である。2.南向斜面の常緑広葉樹林では越冬密度が高く調査場所として適している。3.調査時期としては,大部分の個体が落葉中に生息している11月下旬~3月下旬が良い。4.赤褐色の越冬色を呈した個体は10月下旬より見られ始め,11月以降3月下旬まではほとんどが越冬色であった。5.篩法による各地の越冬密度の年次変動と翌春の各種指標植物樹上における寄生量の年次変動とはよく一致した。6.越冬色を呈した成虫を18℃以上の温度条件下に置くと体色が緑色に変化し,特に25℃以上では処理4日目にはほとんどの個体が変色した。7.照明条件は体色の変化には無関係のように思われた。8.篩法でふるった落葉を大型ポリ袋に入れたまま25℃の定温条件下に4~6日置くとほとんどの個体が変色するため,より簡単で精度の高い調査ができる。