著者
野辺 善仁 高畑 保之 野々村 美宗 高橋 幸司
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.264-267, 2017-08-20 (Released:2017-09-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1

脱泡は一般に遠心脱泡で行われるが,擬塑性を示す液体中からの微細気泡の脱泡は難しい。本研究では新たな脱泡装置として自転公転式撹拌機を開発し,擬塑性を示す高粘度ジェル中に存在する1 μLの大きさの気泡の脱泡を試みたところ,気泡の数にかかわらず数十秒で脱泡が終了した。この脱泡のメカニズムを明らかにするため,液面上部に赤く染色したジェルを滴下して自転公転操作を行い,遠心操作との比較を行ったところ,遠心脱泡法では赤色ジェルは撹拌前と同じ場所に残留しており,2液の混合はまったくなされていなかったが,自転公転式撹拌では,ジェル全体が赤色に染まり,容器内全体を撹拌する流れが生成していることが確認できた。すなわち,遠心操作に加えて自転操作を行うことで流動が促進され,撹拌と脱泡がされたものと考えられる。