著者
野間 正二
出版者
佛教大学文学部
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
no.95, pp.73-84, 2011-03

ヘミングウェイは、パパ・ヘミングウェイと呼ばれてきたように、米国における理想的な男性像のひとつの象徴とこれまで見なされてきた。ヘミングウェイ自身も、生前、そのマッチョな男性像を造りあげるのに努力を惜しまなかった。しかし死後出版された作品、たとえば『エデンの園』などが読まれるようになると、そうした男性的なヘミングウェイ像がゆらぎはじめた。その動きの急先鋒となったのは、いわゆるフェミニストとよばれる批評家たちであった。フェミニストたちは、ヘミングウェイの作品のなかに、作家ヘミングウェイの心のなかに隠されていた両性具有の願望や女性への変身願望を読みとっている。そこでここでは、わたしは、『エデンの園』をフェミニズムの視点から再読することで、そうしたフェミニストたちの主張を再検討した。ヘミングウェイフェミニズム性差人種黒人女性