著者
栗林 睦美 野﨑 美保 和田 充紀
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.135-149, 2018-03-16

本研究では,知的障害者の学校卒業後が豊かで充実したものとなるためには,卒業前にどのような取組が求められているのかについて検討することを目的として,就労・生活・余暇の視点で卒業生の保護者を対象とした実態調査を行った。就労では人間関係・コミュニケーションなどで困難はあるが,職場の人が相談相手となることで,就労の安心充実につながっている現状がうかがえた。生活や余暇については家族と一緒にすごし,困難には家族が対応している割合が高かった。「親亡き後の将来の生活への不安」や「家族とだけではなく友達や支援者と余暇を過ごすこと」「余暇のレパートリーを増やすこと」等の生活や余暇に対する課題も見出された。卒業後の長い生活を見据え「相談できる機関等の情報」「余暇に関する学習の機会」など,学校教育に求められることや取り入れていくべき内容についての示唆が得られた。