著者
齊藤 貴浩 金 性希
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.339-350, 2009
被引用文献数
5

近年,高等教育の現場ではe-Learningが広く導入されてきている.それに応じてe-Learningの研究も盛んに行われているが,過去の研究で得られた知見が十分に共有され,また十分に活用されているとは言い難い.本研究では,高等教育におけるe-Learningに関する研究結果を収集し,それらを用いてe-Learningの効果に関する総合的分析を行った.収集した研究結果は過去12年間の136の論文であり,その中からメタ分析に使用可能な24の研究結果が抽出された.分析の結果,平均効果サイズは0.420であり,e-Learningには中程度の効果があることが明らかとなった.さらに,重回帰分析の結果,実験設定として動機付け関連度が高い方が,そしてメディア活用度が低い方が,学習効果が高いことが明らかになった.さらに,プレ・ポストの実験設計自体が実験・統制群の実験設計よりも効果サイズを高める影響を持っていることが明らかになった.