著者
金 成元
出版者
The Japan Society for Hematopoietic Stem Cell Transplantation
雑誌
日本造血細胞移植学会雑誌 (ISSN:21865612)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.105-113, 2014 (Released:2014-10-15)
参考文献数
50
被引用文献数
1 1

造血幹細胞移植患者は骨髄抑制,免疫抑制に加え,消化管毒性・合併症による経口摂取制限や腸管からの吸収障害を来し,異化が亢進するため,適切な栄養管理を受けなければ,容易に低栄養となり,感染症や臓器障害などの合併症を招く。各移植施設の栄養サポートの基本方針のもと,全ての移植患者に対し,栄養アセスメントと個別の栄養サポートを実施すべきである。Bacterial translocationに関連した敗血症を防ぎ,消化管機能を早期に回復させるため,安易に禁食にせず,低微生物食による経口栄養サポートをなるべく続けるべきである。経口摂取量の不足を経静脈栄養によって補うことが基本的な栄養学的介入となる。近年,経腸栄養の導入も増加している。いずれにせよ,抗酸化物質,グルタミン,脂肪酸,グルコースといった重要な栄養素を適切に利用すべきである。栄養アセスメントと栄養学的介入は,移植を成功に導く重要な要素である。