著者
金 顕静 野口 薫
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.55-62, 1999-07-31 (Released:2017-07-21)
参考文献数
17

本研究は, 形態的特徴が運動パターンの速度知覚にどのように影響するのかを調べたものである。刺激パターンとして垂直・水平・斜め・V字形という四つの異なる図形構成要素をもつパターンを用いた。各パターンにおいてはストライプ状の構成要素の間隔や幅を組織的に変化させた。被験者は, 上から下に運動する動画パターンを観察し, マグニチュード推定法によって知覚速度を評価した。その結果, 垂直ストライプからなる形態はもっとも遅く知覚され, 水平ストライプの形態はもっとも速く知覚された。そして, 斜め・V字形のストライプをもつ形態は, その中間の速度に知覚された。すべてのパターンにおいて, ストライプの間隔・幅の変化は速度知覚に有意な効果を与えた。すなわち, 間隔や幅が狭いほど速く知覚されることが示された。これらの結果は, パターンの構成要素の方向が運動方向(ここでは垂直運動)との関係で速度知覚に影響すること, またパターン出現の頻度が速度知覚の決定因であることを意味する。