著者
金丸 雅子
出版者
北海道文教大学
雑誌
北海道文教大学研究紀要 = Bulletin of Hokkaido Bunkyo University (ISSN:13493841)
巻号頁・発行日
no.42, pp.51-61, 2018-03-15

10年ぶりに改訂された幼稚園教育要領が平成29年3月に告示され,1年間の周知期間を経て平成30年度より施行される.新幼稚園教育要領においても,幼稚園教育は環境を通して行うものであることが基本とされ,また,重視する事項等においてもこれまでの基本的な方向性は維持されている.今回の改訂で最も大きなポイントと言えるのは,新たに,幼児教育と小学校以降の教育を貫く3つの柱を基本に,「幼稚園教育において育みたい資質・能力」が示されたことである.更には,それらをベースとした「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」10項目が明記され,これらの資質・能力の背景には,世界的な教育課題でもある「非認知能力」の育成についての考え方がベースにあるとされている.本稿では,「非認知能力」の育成を重視する新幼稚園教育要領における,モンテッソーリ教育の有効性について考察を行った.その結果,モンテッソーリ教育を受けた子どもたちについてのデータ等により,わが国の現行の幼稚園教育の枠組みにおいて多くの有効な示唆を持つと思われるモンテッソーリ教育の科学的根拠と具体的方法が,新幼稚園教育要領の実現においても有効であることが示唆された.