著者
笠松 紀雄 伊藤 弘毅 長尾 啓一 山口 哲生 金井 太美子 斉藤 正之 大久保 秀樹 栗山 喬之
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.391-396, 1989-08-05

症例は17歳の男子高校生。バスケットボール運動中に前胸部圧迫感を自覚。症状が次第に増強したため同日夜受診し入院となった。特に直接的な外傷の記憶はなかった。次第に増強する皮下気腫と心拍動に一致する捻髪音が認められた。胸部X線写真では縦隔気腫像と皮下気腫像がみられた。気管支鏡的に右主気管支内側に小孔が認められ呼吸によりその径が変動したが, 症状の軽快するに従ってこの小孔が縮小したため, これが縦隔気腫の原因と考えられた。裂傷が考えられ, 副心臓支などの先天的異常の関与は否定的であった。本症例は保存的に治療し治癒した。運動中に発症した縦隔気腫の報告は稀であり, その原因等につき興味ある症例と思われた。