著者
白井 拓史 笠松 紀雄 橋爪 一光 山谷 英樹 半沢 儁 籾木 茂 佐々木 一義 岩崎 幸司
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.414-418, 1998
被引用文献数
1

症例は35歳, 女性。他院にて昭和57年より胸部X線写真上異常陰影を指摘されており, 血尿, 鞍鼻を認めることより臨床的にWegener肉芽腫症と診断され, 経過観察されていた。平成8年3月, 喘鳴, 呼吸困難にて当院に緊急入院。気管支鏡的に著明な浮腫性声門下狭窄が認められ, 緊急的に気管内挿管を行った。気管切開を施行し, ステロイド剤および免疫抑制剤を投与した。治療により浮腫はすみやかに改善したが, 気管の瘢痕性狭窄と多発陥凹を形成し遷延化したため, ST合剤を投与したところ, 軽度瘢痕狭窄を残しほぼ改善した。声門直下部はWegener肉芽腫症のtargetであるといわれている。本例は, 臨床経過14年目に発症した気道病変の経過を気管支鏡にて追跡しえた興味深い症例と考えられたので, 若干の文献的考察を加えて報告する。
著者
加藤 俊哉 橋爪 一光 笠松 紀雄 冨田 和宏 半澤 儁 籾木 茂 佐々木 一義 玉地 義弘 岡本 一也
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.22-27, 1996-01-25
参考文献数
10
被引用文献数
1

胸部X線写真, 胸部CTにて空洞性病変を疑い, 気管支鏡で空洞を直視し得た肺扁平上皮癌の2例を経験した。空洞形成機序を含め, 若干の文献的考察を加えて報告する。症例1は60歳, 男性。両上肺野に巨大嚢胞が認められ, 喀痰細胞診にて扁平上皮癌の診断を得た。気管支鏡検査にて左上葉支入口部より空洞内腔を直視した。症例2は63歳, 男性。胸部異常陰影の精査のため気管支鏡検査施行, 右上葉支入口部より空洞内腔を直視し, 気管支と空洞の交通部から中枢側に癌の直接浸潤が認められた。検査後の喀痰細胞診にて扁平上皮癌の診断を得た。剖検では両症例とも空洞壁及びそれに交通する気管支に広範な壊死を伴う癌の浸潤が認められた。両症例とも嚢胞壁に癌が発生し, これが増大, 周囲に浸潤し, 壊死を生じて, 気管支に開通したものと考えられた。
著者
瀬戸 武志 笠松 紀雄 橋爪 一光 篠塚 成順 高木 啓輔 半澤 儁 籾木 茂 佐々木 一義 小澤 享史 安見 和彦
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.510-514, 2002
参考文献数
15
被引用文献数
2

背景.喉頭癌と気管癌はともに喫煙歴を危険因子とするため,重複例の報告がある.本症例も喫煙指数が高く,また臨床経過,画像的検討により喉頭,気管の異時性重複癌の1例と考えられた.今回,気管内腔への急速な増大を認め,興味ある経過を示した原発性気管癌の重複癌症例を報告する.症例.症例は78歳,男性,喫煙指数(Brink-mann index)2000.1999年に喉頭癌にて放射線治療を受け,その後再発は認めなかった.2001年6月に血痰出現し,当科に精査入院.気管支鏡検査施行し,声門下約4cmの気管左側壁にポリープ様隆起病変を認めた.喉頭部には喉頭癌再発の所見はなく,原発性気管癌(扁平上皮癌)の診断を得た.約1週間の経過で腫瘍の急速な増大により気管狭窄をきたしたため救急救命的に内視鏡的Nd-YAGレーザー治療を併用し,気道の確保を行った.その後,放射線治療を行い,独歩退院となった.結論.原発性気管癌において気管内腔へ急速に増大する症例があり,急速な増大により容易に気道閉塞をきたし致命的となる.以上を念頭に置き,気管癌症例では慎重に経過観察を行い,必要であれば迅速な気道確保処置が必要である.
著者
笠松 紀雄 伊藤 弘毅 長尾 啓一 山口 哲生 金井 太美子 斉藤 正之 大久保 秀樹 栗山 喬之
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.391-396, 1989-08-05

症例は17歳の男子高校生。バスケットボール運動中に前胸部圧迫感を自覚。症状が次第に増強したため同日夜受診し入院となった。特に直接的な外傷の記憶はなかった。次第に増強する皮下気腫と心拍動に一致する捻髪音が認められた。胸部X線写真では縦隔気腫像と皮下気腫像がみられた。気管支鏡的に右主気管支内側に小孔が認められ呼吸によりその径が変動したが, 症状の軽快するに従ってこの小孔が縮小したため, これが縦隔気腫の原因と考えられた。裂傷が考えられ, 副心臓支などの先天的異常の関与は否定的であった。本症例は保存的に治療し治癒した。運動中に発症した縦隔気腫の報告は稀であり, その原因等につき興味ある症例と思われた。