著者
金井 昌宏
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1_49-1_58, 2021-12-31 (Released:2022-03-01)
参考文献数
35

科学技術基本法制定 (1995) 以降,日本の産学連携の諸活動は,規模的には拡大基調が続いている.しかし,第5期科学技術基本計画 (2016) では,「日本の産学連携はいまだ本格化せず,イノベーションを生み出す力に繋がっていない」として,消極的評価がなされている.その原因の一端として,産学間の共同研究成果の活用の問題が指摘されている.共同研究成果の活用条件が十分調整されずに,産学間で共同特許出願される実務慣行により,共同研究成果が「死蔵化」されている可能性がある.本稿では,国内の大学産学連携部門へのアンケート調査等を通じ,この死蔵化の発生状況と原因を分析した.
著者
金井 昌宏
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_48-2_58, 2020-06-30 (Released:2020-07-31)
参考文献数
59

科学技術基本法制定 (1995) 及び第1期科学技術基本計画策定 (1996) 以降,日本の産学連携諸活動は規模的な拡大基調が続いている.一方,第5期科学技術基本計画 (2016) では,日本の産学連携はいまだ本格化せず,イノベーションを生み出す力に十分繋がっていないとして,消極的評価がなされている.その原因の一端として,産学間の共同研究成果の活用が不十分である可能性が考えられる.本稿の目的は,産学間の共同研究成果の取扱いの問題を巡り,過去20年以上にわたり産学官各セクターから発信された提言を一種の「相互作用」として読み直すことにより,係る議論を経て形成されてきた実務が,現在の産学連携に及ぼす影響について考察することである.
著者
金井 昌宏
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.2_135-2_143, 2017 (Released:2018-01-18)
参考文献数
44

本研究の目的は,大学の研究成果として生じた知的財産権が,文部科学省文書に述べられているように,「自ら事業をせず他の事業者に対し法外な対価を要求して権利行使することを専ら業とする者等」によって利用されることを防止するため,大学がとりうる対応を明らかにすることである. 2011年に公表された米国連邦取引委員会(FTC)のレポートを中心とする文献調査に基づき,PAEと略称される,係る活動を行う者等の概念と活動内容,公益上の問題について検討した.その整理を受けて,主として知的財産管理上そして技術移転契約上の観点から,この問題に対し有効と考えられる具体的な対策について提言する.
著者
金井 昌宏
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.2_41-2_50, 2015 (Released:2015-07-01)
参考文献数
30

平成18年改正に係る教育基本法において,社会貢献が教育及び研究に次ぐ我が国の大学の第三の使命として明記され,今日では共同研究や知的財産権ライセンス等の産学連携が,我が国でも活性化している.大学にとっても,産学連携は,ライセンス対価や研究費等の外部資金を導入できるメリットがある. しかし,大学の基本的機能である教育及び研究は,依然として大学の本質的価値を根拠付ける活動である.産学連携がこれらに悪影響を与えることがあってはならない. 本稿では,特に共同研究契約を対象として,産学連携終了後に,大学が自由な研究活動を継続するために,考慮すべき契約条件の検討を行った.