著者
金井 昭彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.14-28, 2018 (Released:2018-07-20)
参考文献数
40

19世紀のヨーロッパにおいては,大都市の駅舎のホームにはトレイン・シェッドが建設され,駅空間のシンボルとして君臨してきたが,現在においてもその圧倒的な存在感は失われていない.これに対し,明治・大正期の日本においては,ホームのみを覆い,軌道上部が開放されたプラットホーム・シェッドが主流であり,トレイン・シェッドは採用されなかった.本研究では,日本においてトレイン・シェッドが建設されなかった理由を,駅舎空間や当時のエンジニアが行った欧米視察記,停車場論,鉄骨建築史等から考察することを目的とする.
著者
金井 昭彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_305-I_314, 2014

19世紀フランスにおいては鉄道黎明期から,エンジニアや建築家によって駅舎配置計画類型の理論的分析が行われた.その中で標準型とされたのは,出発と到着の諸室を線路両側に配置する両側面型であった.また,フランスにおいては,旅客は荷物を預けた後は,出発直前まで待合室にいなくてはならず,ホームに立ち入ることは許されていなかった.当初からこの搭乗方式は批判が相次いだが,自由入構制度が導入されるまでには半世紀近くも要した.やがて,新方式が導入されたことによって,駅舎配置も影響を受け,待合室よりエントランスホールが機能上重要となり,徐々にL型配置が採用されるようになる.本研究では,フランスにおける駅舎配置計画の理論的分析と,実際の歴史的変遷の影響関係を明らかにする.
著者
金井 昭彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.12-27, 2017 (Released:2017-04-20)
参考文献数
44

19世紀のヨーロッパにおいては,大都市の駅舎にはトレイン・シェッドが建設され,駅空間のシンボルとして君臨してきたが,現在においてもその圧倒的な存在感は失われていない.この技術空間であるトレイン・シェッドは,列車や旅客防護等の基本的な機能に加え,ホーム上のすべての移動を妨げないようにスパンを増大し,蒸気機関車の排出する煤煙を処理することが求められた.しかしながら,本研究では,この機能的側面に加えて,当時の技術や時代背景,鉄道の大衆化や国際化に伴う都市の玄関ホールとしての役割などを,エンジニア・建築家の言説,あるいは芸術家たちの描写から読み取ることによって,トレイン・シェッドの象徴的側面を明らかにし,その存在理由を総括的に考察することを目的とする.