著者
金井 郁夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.31-41, 1964-06-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1960年から1963年までの4年間に調査した,70個のツバメの巣に関するデーターをまとめた結果を次に記す。1.造巣作業中,巣での滞在期間は平均34秒,泥の運搬間隔の平均は73秒で,1時間の回数は平均27回である。仕事は主に午前中行い,造巣日数は平均10日である。2.縦の変異は4.8~12.1cmで平均が7.9cm,標準偏差は1.05である。3.横の変異は7.5~14cmで平均が9.9cm,標準偏差は1.23である。4.縦横差の変異は0~6cmで平均が1.7cmである。5.縦横平均の変異7~13cmで平行が8.9cm,標準偏差は1.09である。6.深さの変異は1.5~5cmで平均が3.2cm,標準偏差は0.27である。7.外高の変異は2~32cmで平均が7.8cm,標準偏差は6.04である。8.巣上空間の変異は4~42cmで平均が10.8cm,標準偏差は2.78である。9.旧巣と新巣の測定差は,縦で0.3cm(3.8%)古巣,横で0.9cm(9.1%)古巣,縦横変異(差)で0.4cm(24%)新巣,縦横平均で1.4cm(16%)古巣,深さでは0.4cm(1.1%)古巣,外高で0.8cm(10%)古巣,巣上空間で2.5cm(23%)古巣の方が大きい。10.屋外と屋内の測定差は,縦で0.1cm(1.3%)外,横で0.4cm(4%)外,差で0.4cm(23.%)外,縦横平均で0.1cm(1.1%)内,深さで0,外高で1.6cm(2.1%)内,巣上空間で4.8cm(44%)外が大きい。11.各調査項目とも一般に旧巣が新巣より大きい。但し,縦横変異は新巣が大である。屋外と屋内を比べると,巣の上面積と巣立ちの空間は屋外の方が大きい。他はすべて屋内巣が大である。12.ツバメの巣は一般に横長である。縦と横は比例し,縦横平均に対し深さは変異の幅が狭い。営巣に必要な空間は6~74cmで平均19cmである。縦横平均と容積指数,深さと容積指数は比例している。