著者
金児 靖二 井野 正興 高見澤 雄一郎
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.65-73, 1995-02-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

手術を施して活動量の低下したゴキブリ用のアクトグラフを3種類考案した。つるした円環状の容器中を昆虫が歩くトラックとし,歩行による揺れを検出する「浮き輪型」,昆虫の歩行により生じるアルミ箔の振動を検出する「振動型」,そして従来の回転輪装置を改良して微少な回転をも検出する「新回転輪型」の性能を比較した。記録方式はイベントレコーダによらず,アクトグラフ出力を電子回路を介してパーソナルコンピュータに直接入力し,自動的かつ定量的にデータ処理ができるようにした。いずれも正常個体,手術個体(断頭個体)に対して感度の高い,良好な記録が得られた。「浮き輪型」は一番感度が高かった。そのためノイズ的活動もピックアップするが,手術後の活動の特徴を捉える事ができた。「振動型」ではゴキブリに正帰還作用によるストレスの働かない,比較的自然な活動が記録できると思われた。「新回転輪型」はノイズが少なくリズムを明瞭に記録できた。またこれは3タイプのうちで測定の定量性が一番保証されるので,手術前後の活動量が比較できるという長所をもっていた。これらのアクトグラフは,他の昆虫の活動記録にも利用できるであろう。