著者
金子 与止男
出版者
森林野生動物研究会
雑誌
森林野生動物研究会誌 (ISSN:09168265)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.7-15, 2012-03-29 (Released:2017-10-03)

冬季に多量の降雪のある新潟県の低山帯で越冬鳥類の個体数調査を実施した.得られたデータを用い,食性・採食場所にもとつくニッチ占有タイプ,群れで生活するか単独で生活するかといった社会構造との関連を分析した.3冬季間に47種の鳥類が観察された.1977/78年の冬季は出現鳥類の個体数が少なかったが,1978/79年と1979/80年は個体数が多かった.個体数の多かった種は,シジュウカラ,カシラダカ,エナガ,アトリ,ホオジロ,スズメ,マヒワであった.積雪の多い1月と2月には,ホオジロのように地面で採食する鳥は調査地からいなくなった.多雪地の低山帯で冬季に見られる鳥類で個体数の多い優占種はシジュウカラやエナガなどの混群形成種であり,アトリやマヒワなど放浪性のあるアトリ科の鳥が多数飛来するときには前者を上回り優占種になると考えられた.
著者
金子 与止男 Yoshio Kaneko 岩手県立大学総合政策学部
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.127-132, 2015-11-01

イソヒヨドリは、日本ではもともと海岸沿いに生息していたが、近年、海から離れた内陸部にも進出し、繁殖するようになってきた。内陸部ではとくに、鉄道の駅やマンションなど高層建築物のある都市でよく目撃されている。筆者は岩手県の内陸部でイソヒヨドリを複数回にわたり観察することができた。盛岡市、遠野市、花巻市、北上市、一関市である。海からもっとも遠い地点は盛岡駅の71km であった。イソヒヨドリの行動から、これら内陸の都市部で繁殖していると結論づけられた。The blue rock thrush Monticola solitarius originally inhabits the coastline in Japan, but the species has recently been observed far inland. In particular, blue rock thrushes are often found in large cities with high buildings including railway stations. I observed blue rock thrushes several times in the interior of Iwate Prefecture, i.e.,Morioka, Tohno, Hanamaki, Kitakami, and Ichinoseki. The farthest inland site was Morioka, which is 71 km from the coast. Based on the birds' behavior, I concluded that blue rock thrushes breed in these inland cities.