著者
伊藤 まゆみ 金子 多喜子 大場 良子 藤塚 未奈子 Mayumi Ito Takiko Kaneko Ryoko Ohba Minako Fujizuka
雑誌
共立女子大学看護学雑誌 = Kyoritsu Journal of Nursing
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-10, 2016-03

近年、ストレスに起因してポジティブな変化が生じることが明らかにされている。このことは終末期ケアにおける看護師のバーンアウト予防に貢献すると考えられるが、これらの検討は不足している。本研究目的は、終末期ケアに携わる看護師のストレスに起因したポジティブな変化がバーンアウトに及ぼす影響を明らかにすることである。本研究では、終末期ケアにおいてストレスフルなケアを体験した看護師207名に、バーンアウト、意味づけ並びに外傷後成長の質問紙調査を実施した。バーンアウトの下位尺度である情緒的消耗感、脱人格化、個人的達成惑を目的変数に、その他の測定変数を説明変数とした重回帰分析を行った。その結果、個人的達成感には意味づけや外傷後成長が影響していた。これらの結果、看護師がストレスに起因してポジティブな変化が生じれば、個人的達成感の低下は改善する可能性が示唆された。
著者
金子 多喜子 森田 展彰 伊藤 まゆみ 関谷 大輝
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.45-53, 2019 (Released:2019-08-23)
参考文献数
33
被引用文献数
3

目的:本研究の目的は,看護師の感情対処育成のため認知再構成法によるWeb版教育プログラムを実施し,感情対処傾向の変容効果を検証することである.方法:看護経験年数10年未満の看護師26名を対象に,認知再構成法を用いたWeb版教育プログラムを実施した.介入評価は,看護師版感情対処傾向,STAI日本語版,首尾一貫感覚(SOC)の尺度を使用し,介入前・後,および介入後1ヵ月の3期に測定した.結果:メンタルヘルスに効果的な対処である,患者の感情と看護師自身の感情の折り合いをつけ調整する“両感情調整対処”が高まり(F(2, 48) = 3.61, p = .035),感情への対処自信も高まった(F(2, 48) = 5.02, p = .010).また,その効果は概ね介入直後よりも介入後1ヵ月において変容を認めた.結論:本研究のWeb版教育プログラムの実施により,看護師の感情対処傾向を変容させる可能性が示唆された.