著者
池知 良昭 井上 桂子 小野 健一 金山 祐里 大岸 太一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-69, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
29

本研究は終末期がん患者に対する作業療法士の実践自己評価尺度を開発する目的で信頼性,妥当性を検討した.緩和ケア病棟入院料届け出受理施設の作業療法士246名分を分析対象とした.結果,カテゴリカル探索的因子分析より20項目5因子構造が推定された.カテゴリカル確認的因子分析により適合度指標RMSEA=0.067,CFI=0.958,TLI=0.951であり良好な構造的妥当性を有していた.ω係数=0.8~0.92で内的一貫性も確保された.基準関連妥当性は相関を認めたが弱かった.今後,本尺度と作業療法士の作業参加状況との関連性の検討が課題である.
著者
池知 良昭 井上 桂子 小野 健一 金山 祐里
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.87-98, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
16

要旨:終末期がん患者に関わる作業療法士は,自らの役割が不明瞭であり自信がない.本研究の目的は,当該領域の作業療法士の役割を明確にし,実践自己評価尺度の内容的妥当性を検討することである.文献検索と専門家会議にて項目を抽出し,当該領域の作業療法士にアンケートを実施した.その後,天井効果・フロア効果,最頻値,度数分布,非該当数を検討した.結果,グリーフケアの設問にフロア効果を認め,復職・セクシャリティは非該当が多かった.予後未告知の患者と,死に関して話さないとの意見があった.最終的に77項目が採用され,本尺度の内容的妥当性が確保されたが,今後さらに,項目相関係数やCronbach α係数等の内容的妥当性の検討が必要である.
著者
小野 健一 藤原 大輔 川上 孝行 金山 祐里
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.210-216, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
18

認知症の人とその家族介護者への支援は,両者の在宅生活を維持するために重要である.今回,訪問作業療法場面で,認知症高齢者と家族介護者2組に対し,共作業支援尺度を用いた共作業支援プログラムを実施した.共作業支援尺度から提案された改善したい共作業への作業療法介入を行った結果,認知症高齢者のBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia(以下,BPSD)の重症度と,家族介護者のBPSDから生じる介護負担感,共作業継続意志得点の改善が,2組共に見られた.両者の行う共作業への介入により,家族介護者の共作業の遂行能力が改善し,結果として両者にとって,より満足のいく在宅生活につなげられる可能性が示唆された.