著者
金森 敏幸 溝口 健作
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.91-95, 2011-03-20
被引用文献数
1

濃度差と圧力差を駆動力とする液体の膜分離では,膜の透過性に応じて膜近傍に濃度境膜が形成されるが,濃度差を駆動力とする場合(拡散)には液本体に比べて膜面の濃度が減少し,圧力差を駆動力とする場合(対流)には膜面で濃縮が起こる.したがって,拡散と対流が共役する膜透過における膜近傍の濃度境膜形成機構は,極めて複雑である.さらに,膜デバイスで広く用いられている中空糸膜では,濃度と圧力は流れ方向でも変化するため,数学的に厳密な解を求めることは困難である.本研究では,市販の有限要素法アプリケーションを用いて中空糸型血液透析器の溶質除去性能について詳細に検討したところ,濾過による溶質除去促進について既往の実験結果を再現することができた.