- 著者
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金澤 一郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本小児神経学会
- 雑誌
- 脳と発達 (ISSN:00290831)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.3, pp.185-189, 2012 (Released:2014-12-25)
我が国の難病政策は先進各国の中でも著しく進んでいるとされている. 昭和47年当初は研究の対象を難病と呼び, 調査研究を行う4疾患, 研究協力の見返りとして治療費を国庫が負担する4疾患であったが, その後, 対象疾患が次第に増加してゆき, 現在では, 前者が53疾患, 後者が130疾患になっている. これだけをみると, この制度は極めてうまくいっているように見えるが, 実際には大きな問題をいくつか抱えている. 以下に成人の難病対策がたどった道, 小児の難病への対策とその小史, 難病対策の現状と問題点, 新しい治療研究事業の在り方についての提案を述べる.