著者
福盛 貴弘 金濱 茉由
出版者
日本実験言語学会
雑誌
実験音声学・言語学研究 (ISSN:18836763)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-24, 2019-03-24 (Released:2023-06-15)
参考文献数
21

本稿では、エセ大阪弁の音声学的特徴について記述することを目的としている。エセ大阪弁とは、日常的に使われていない語形や音調によって、大阪弁話者が違和感を覚える言葉を指す。大阪弁話者がエセ大阪弁を受けつけない理由として、音調における社会的機能が挙げられる。こういった背景をふまえて、言語形成地を東日本で過ごした被調査者10名を対象として、提示した文を自身が考える大阪弁の音調で読んでもらった。結果として、句音調が負の言語転移となる、式音調が脳内辞書に入っていない、アクセントの下がり目の位置を意図的に変えてしまうといった要因が、エセ大阪弁の音調を構成する要因となっていることが検証された。