著者
金石 圭祐 川畑 正博 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.130-134, 2015 (Released:2015-06-17)
参考文献数
16
被引用文献数
2

終末期がん患者における不眠は頻度の高い苦痛症状の1つである.患者だけでなく,家族や介護者にとっても負担は大きい.薬物療法は主要な対応の1つであるが,多くの終末期がん患者にとって薬剤の内服は困難となる.今回われわれは不眠に対しフルニトラゼパムの単回皮下投与の有効性を示すことを目的とした観察研究を行った.睡眠の評価にはSt. Mary’s Hospital Sleep Questionnaire を使用した.主要評価項目は睡眠の質とした.30人の患者が対象となった.良好な睡眠の質が得られた患者の割合は90%であった.平均睡眠時間は7.5時間で,入眠までの平均時間は31分であった.投与後2人がせん妄と診断された.平均呼吸回数の減少がみられたが,臨床的な問題はなかった.終末期がん患者における不眠に対し,フルニトラゼパムの単回皮下投与が有効に使用できる可能性が示された.
著者
金石 圭祐 松尾 直樹 余宮 きのみ
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.101-108, 2006 (Released:2006-03-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1

オピオイド投与時において嘔気の出現はしばしば問題となる副作用のひとつである. 今回オピオイド持続投与の際の嘔気予防としてハロペリドール単独投与群と塩酸ヒドロキシジン, ハロペリドールの併用投与群各50名に関し, 嘔気の出現率等についてretrospectiveな調査を行った. 持続投与開始後の嘔気の出現率はハロペリドール単独投与群(34%)と塩酸ヒドロキシジン併用投与群(10%)間で有意差を認めた. 多変量解析の結果では嘔気の危険因子として, 治療開始前の嘔気, イレウス, 塩酸ヒドロキシジン併用の有無が抽出された. また両群間のモルヒネ投与症例のみを検討しても, 嘔気の出現率はハロペリドール単独投与群(32.5%)と塩酸ヒドロキシジン併用投与群(4.5%)間で有意差を認めた. オピオイド持続投与時の嘔気予防にハロペリドール・塩酸ヒドロキシジン併用が有効である可能性が示唆された.