著者
国島 正義 松尾 直樹 竹田 明希子 村尾 正樹 今井 秀樹
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.657-663, 2016-10-31 (Released:2016-10-31)
参考文献数
11
被引用文献数
1

目的:院内トリアージ用紙の運用の効果と院内トリアージにおける看護師の判断の実態,および看護師の行う院内トリアージに関する問題点,改善点を明らかにすること。方法:実際に院内トリアージを行った1,382件を集計し解析を行った。また,トリアージナース18名を対象とした看護師判断の質問紙調査を行った。結果:院内トリアージでは呼吸数,および二次トリアージの記入率が低い結果となり,質問紙調査でも他の項目に比べて呼吸数と二次トリアージを必ず記入するという回答率は低かった。呼吸数の記入率に対して,看護師経験年数,体温,血圧,SpO2,および意識レベルの記入が関連しており,二次トリアージの記入率には,看護師経験年数,一次トリアージ評価,およびSpO2の記入が関連していた。結論:トリアージナースによる院内トリアージ用紙の運用では,呼吸数および二次トリアージ評価の記入率が低く,その記入率に影響する因子が明らかとなった。
著者
金石 圭祐 松尾 直樹 余宮 きのみ
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.101-108, 2006 (Released:2006-03-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1

オピオイド投与時において嘔気の出現はしばしば問題となる副作用のひとつである. 今回オピオイド持続投与の際の嘔気予防としてハロペリドール単独投与群と塩酸ヒドロキシジン, ハロペリドールの併用投与群各50名に関し, 嘔気の出現率等についてretrospectiveな調査を行った. 持続投与開始後の嘔気の出現率はハロペリドール単独投与群(34%)と塩酸ヒドロキシジン併用投与群(10%)間で有意差を認めた. 多変量解析の結果では嘔気の危険因子として, 治療開始前の嘔気, イレウス, 塩酸ヒドロキシジン併用の有無が抽出された. また両群間のモルヒネ投与症例のみを検討しても, 嘔気の出現率はハロペリドール単独投与群(32.5%)と塩酸ヒドロキシジン併用投与群(4.5%)間で有意差を認めた. オピオイド持続投与時の嘔気予防にハロペリドール・塩酸ヒドロキシジン併用が有効である可能性が示唆された.
著者
山本 亮 大谷 弘行 松尾 直樹 新城 拓也 宇野 さつき 廣瀬 光 松原 龍弘 瀧川 千鶴子 前野 宏 佐々木 一義 茅根 義和 池永 昌之 森田 達也
出版者
Japanese Society for Palliative Medicine
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.192-201, 2012
被引用文献数
3

<b>【目的】</b>小冊子『看取りのパンフレット』を用いた終末期患者を看取る家族への説明の有用性を評価することを目的とした. <b>【方法】</b>緩和ケア病棟5施設, 在宅ホスピス4施設, 緩和ケアチーム1施設で, 終末期患者の家族との面談時に小冊子を用いた説明を行い, 死亡後6カ月以上が経過した遺族に対して郵送法による質問紙調査を行った. <b>【結果】</b>325名に調査票を発送し, 260名(回収率85%)から回答を得た. 81%が小冊子が「とても役に立った」「役に立った」と回答した. 家族の体験として, 「変化の目安になる」(84%), 「症状や変化がなぜ起きているのか分かる」(76%)などが挙げられた. 運用の工夫が自由記述から抽出された. <b>【結論】</b>『看取りのパンフレット』は, 配布する時期を患者・家族ごとに検討し, 渡すだけではなく十分にコミュニケーションをとることに注意して運用することで多くの家族にとって有用であることが示唆された.