著者
佐川 暢俊 金野千里 梅谷 征雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.36-45, 1989-01-15
被引用文献数
15

スーパコンピュータによる大規模な数値シミュレーションの要求が高まっているが そのソフトウェア環境は必ずしも満足すべきものではない.著者らはプログラム生産性の大幅な向上とスーパコンピュータの有効利用とをねらいとしてDEQSOL(Differential EQuation SOlver Language)の開発を進めている.DEQSOLは 問題仕様書レベルの記述からFORTRANによる数値シミュレーションプログラムの自動生成を行う問題向き高水準言語である.入力となるDEQSOL言語はシミュレーション対象を簡潔に表現するとともに解法アルゴリズムを柔軟に表現できるように設計されている.すなわち 空間メッシュの生成 境界条件の取り込みを自動的に行うのみならず 繰り返し 条件分岐と微分演算子を含む計算式を組み合わせて広範囲の解法スキームを構築することができる.連立偏微分方程式の一括離散化 Body Fit用プリプロせッサの装備などの拡張を加え さらなる適用範囲の拡大を図りつつある.一方生成されるFORTRANコードはスーパコンピュータを意識したものであり ループ長の拡大 コンフリクトの少ないデータ構造の採用などの配慮がなされている.その結果 各種の問題に対して記述効率(記述行数比)でFORTRANの10倍以上 ベクトル化率で90%以上のコードの生成を可能としている.