著者
鈴木 一裕 神田 英一郎 菅野 義彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.239-242, 2015 (Released:2015-05-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2 1

高血流量透析を行うと静脈還流量が増加し前負荷が上昇する結果, 心臓への負担を増大させるのではないかという考えに対し, 高血流と通常血流の状態で心エコーによる心拍出量測定を行い, 静脈還流量の変化を検討した. 同意の得られた維持透析患者33例に対し, 単回の透析セッション中に高血流 (360~400mL/分), 通常血流 (日本で一般的な200mL/分) 再び高血流のもと心エコーを行い, 一回拍出量を測定し, 心拍数との積 (=心拍出量 (mL/分) ) および下大静脈径を静脈還流量の指標とした. 33名中, 中等度以上の弁膜症を呈した3例は解析から除外した. 血流量を高血流から通常血流, そして高血流に戻したときの心拍出量および下大静脈径に有意な変化を認めなかった. 今回の検討から, 高血流透析により心負荷を増大させる可能性は低いと考えられた.
著者
鈴木 一裕 鈴木 翔太 本田 周子 新田 浩司
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.153-156, 2017 (Released:2017-03-01)
参考文献数
7

スクロオキシ水酸化鉄 (以下SO) を使用した症例について検討した. 鉄剤投与を行っていない当院透析患者リン吸着薬内服21例について同用量のSOに切り替え, 切り替え前と12週後での血清リン値, 鉄関連検査値, 副作用発現頻度, 血清fibroblast growth factor 23 (FGF23) 値の変化につき検討を行った. SOを継続して内服できた18例のリン値は有意に低下した. 副作用中止例は3例 (下痢が2例, 軟便が1例) が内服中止した. 鉄関連検査値については投与前後で差を認めず, 血清FGF23値の変化は透析前血清リン値に依存した.