- 著者
-
鈴木 翔太
- 出版者
- 電気通信大学
- 巻号頁・発行日
- 2017-03-24
現在、極性判定を用いて皮肉文をポジティブ又はネガティブに自動で分類することは難しい問題とされていて, 重要な問題であるとされている. 本研究における皮肉文とは, ポジティブな言語表現を文章中に多く含ませているにもかかわらず, 本来伝え手が意図している内容がネガティブになる文章, 又はネガティブな言語表現を文章中に多く含ませているにもかかわらず, 本来伝え手が意図している内容がポジティブになる文章のことを指す. 以下の表現を本研究では皮肉と定義する.「肯定的な意味を伝える否定表現又は否定的な意味を伝える肯定表現を皮肉とする」. 本研究における皮肉を特定することは, 文章を正確に分類する上で重要な課題となっている. 以上のことより, 本研究では既存の極性判定器の分類精度に影響を及ぼす皮肉文を検出する為の手法を提案する. 皮肉を検出することで, レビューにおける既存の極性判定器の解析精度の向上を図る. レビューに対し構文解析を行い, 構文解析によって抽出されたフレーズに対し, Bhartiらが用いていたsituation phrase 又はsentiment phrase を用いて, 構文解析されたフレーズがそれらのフレーズに一致するかを判定する. なお, 本研究では構文解析されて出力された文節それぞれのことをフレーズと呼ぶ. situation phrase 又はsentiment phrase の品詞の組み合わせに一致するフレーズが対象のレビューにあった場合, そのフレーズがポジティブであるか,ネガティブであるか, 又はどちらでもないかを判定する. sentiment phrase, situation phrase それぞれのポジティブ, ネガティブとなるフレーズの数を数え上げ, 1レビューに対してのsituation phrase,sentiment phraseの全体の感情を判定する. situation phrase とsentiment phrase それぞれの全体の感情が異なった場合, その対象のレビューは”皮肉文である”と判定される.上記の手法を用いて, 既存の皮肉判定手法との比較を行い本提案手法の有用性を示す.また, 既存の極性判定器で, 実際の感情と誤って判定された皮肉文を本提案手法が検出できるか, 実用性の評価を行った.