著者
鈴木 史明 谷口 武 庄野 明子 富山 俊彦 小野 雅昭 谷口 定之
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.71-76, 2007
被引用文献数
2

近年,男性の喫煙率は減少傾向にあるが,女性の喫煙率は増加傾向にある.妊婦の喫煙率は,約20%である.妊婦の喫煙は,胎児発育遅延,常位胎盤早期剥離等の原因になる.従来の禁煙指導は,成果が十分でない.そこで当院では,多くの喫煙者が禁煙できるように,外来診察中に短時間(約2分30秒間)の禁煙指導(「ライト」)を開始した.「ライト」と禁煙外来の禁煙成功率を比較し,効果的な禁煙指導法を考察した.妊婦の場合,禁煙成功率は「ライト」で27.8%,禁煙外来で88.9%であった.妊婦1人の禁煙に要する指導時間は,「ライト」で9分,禁煙外来で1時間41分であった.禁煙指導1時間当たりの禁煙成功妊婦数は,「ライト」で6.7人,禁煙外来で0.6人である.このように短時間の禁煙指導である「ライト」でも,禁煙指導の効果は期待できる.「ライト」は,多忙な日常診療のなかで行う禁煙指導として意義は十分ある.さらに,「ライト」,禁煙外来,その他の禁煙指導法を組み合わせることよって,多くの喫煙者の禁煙が期待できる.〔産婦の進歩59(2)71-76,2007(平成19年5月)〕<br>