- 著者
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鈴木 大助
- 雑誌
- 研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
- 巻号頁・発行日
- vol.2022-CE-164, no.12, pp.1-4, 2022-03-05
コロナ禍下での対応のため,大学では妥当な評価が可能なオンライン試験の実現に向けて,様々な試みが行われている.筆者は,授業内小テストとして減点方式の正誤判定問題を利用したオンライン CBT 試験を行った.受講生数が多くても採点が容易であること,どのような科目にも応用可能であること,受講生個々人の理解度を測定できる試験であることを目指した.本試験は,制限時間 60 分,満点 40 点で,学習管理システムの小テスト機能を利用して実施した.問題は,減点方式の正誤判定問題 40 問からなり,全問解答必須である.受講生は,各設問の文章を読み,その文章が正しい場合は「正しい」,誤っている場合は「誤り」,自信が無いので解答したくない場合は「解答しない」をそれぞれ選択する.また,「誤り」を選択した場合は,対応する解答欄に正しくなるように修正した文章を記述する.修正した文章の記述が無い場合または修正した文章が誤っている場合は,誤答となる.採点は,正答数から誤答数を引いた数を得点とし,得点がマイナスとなる場合は 0 点とする.「解答しない」を選択した設問は正答数にも誤答数にも数えない.30 人が本試験を受験した結果,得点は 10~15 点の得点区間をピークとし,0 点から 33 点の範囲に広く分布する結果となった.また,「解答しない」選択数の分布からは,受講生が確実に得点するために「解答しない」という選択肢を戦略的に利用している様子がうかがえた.以上のことから,本試験は受講生の達成度を識別する能力を有しており,受講生個々人の理解度を測定できていると期待される.また,工夫は加えているものの基本的には正誤判定問題かつ CBT であるため,採点も比較的容易である.減点方式の正誤判定問題を利用したオンライン CBT 試験は,妥当な評価が可能かつ実践が容易な試験になりえると言える.