著者
赤澤 紀子 赤池 英夫 柴田 雄登 角田 博保 中山 泰一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 = IPSJ SIG Technical Report (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-166, no.5, pp.1-9, 2022-09-24

2003 年から開始された普通教科情報科は,「情報 A」,「情報 B」,「情報 C」の選択必履修から始まり「社会と情報」と「情報の科学」の選択必履修を経て,2022 年実施の新学習指導要領では「情報Ⅰ」(必履修 2 単位)と「情報Ⅱ」(選択2単位)となった.情報科で扱う内容は,進歩の速い情報化社会を生き抜くための知識及び技能の習得,思考力・判断力・表現力を養う必要があり,普遍的な内容とその時代に即した内容が盛り込まれていると考えられる.本研究では,全教科書の索引に着目して情報科で扱う用語の変遷についてまとめる.
著者
中山 泰一 中野 由章 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 和田 勉 萩谷 昌己 筧 捷彦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.11, pp.1-9, 2015-10-03

本論文では,高等学校情報科の教科担任の現状を明らかにするため,都道府県教育委員会における臨時免許状の授与と,免許外教科担任の許可の状況を調査した.その調査結果を報告するとともに,わが国の情報教育のありかたについて考察する.
著者
山根 信二
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-159, no.30, pp.1-5, 2021-03-06

デジタルゲームは学問の対象となり,世界各地の先進校がゲームの知識体系を研究し学ぶ学位プログラムを推進してきた.この国際動向の中で日本はゲーム産業と高等教育機関との産学連携教育プログラムが立ち遅れてきたが,2020 年にゲーム・CG を学ぶ初の専門職大学がスタートした.本研究では,日本国内では稀少な体系的なゲームの学位プログラムをスタートした東京国際工科専門職大学のデジタルエンタテインメント学科における初年次教育の取り組みから,特に専門用語(ジャーゴン)の問題について報告する.日本のゲーム産業では歴史的経緯から企業ごとに異なる社内開発用語を使ってきた.そこで本研究は,専門職大学での教育実践を通じて,複数のバックグラウンドを持つ企業出身者の観点をもとに企業間の違いを検討し,各企業文化が対応可能な高度なゲーム教育プログラムのための用語集の作成に着手した.さらに,海外で定着した大学教科書を日本語での高等教育現場へ導入したことで,グローバルな開発用語との相互運用性をふまえた用語集の取り組みが必要となった.
著者
遠山 紗矢香
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-144, no.2, pp.1-8, 2018-03-10

本研究では ICT を用いた音楽的な創作活動とプログラミング活動との類似性に着目した.児童が目指すイメージに向かって楽曲を構成していく仮説検証的な過程を,音楽におけるプログラミング的な創作活動として捉えた.本研究の目的は,音楽における協調的な創作活動を設計し,その活動によって子どもたちの自己肯定感がいかに変化するかを検討することであった.児童 20 名に対して,Scratch およびボーカロイド教育版を用いたのべ 3 時間の副旋律を作成するワークショップを実施した.その結果,児童が作成した副旋律は事前よりも事後で向上したものが多かったが,児童の自己肯定感の向上傾向には児童間でちがいが見られた.
著者
朱 心茹
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-135, no.4, pp.1-9, 2016-06-25

発達性ディスレクシアに対する支援には様々なものがある.欧米ではディスレクシアに特化した書体が開発されており,それらの書体がディスレクシアの人々にとってより読みやすいことが示されている.日本においても,書体がディスレクシアの人々の読みに影響を与えることが明らかになったが,ディスレクシアに特化した書体は制作されていない.本研究は,ディスレクシアに特化した和文書体をデザインするため,ディスレクシアに特化した欧文書体の読みやすさに関する特徴を整理することを目的とする.研究対象に選定した 3 つのディスレクシア書体と 6 つの一般書体に対する数値的な計測と視覚的な分析を通してディスレクシアに特化した欧文書体の可読性に関する特徴と視認性に関する特徴を抽出した.
著者
角田 博保 赤池 英夫 赤澤 紀子 中山 泰一
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-172, no.13, pp.1-6, 2023-11-25

高等学校の共通教科情報科は 2022 年度よりすべての高校生が必履修科目の「情報 I」を履修することとなり,2025 年度入試から「情報 I」が大学入学共通テストで出題されることとなった.また,各大学の個別入試においても入試科目に「情報」を設置した大学が増えている.大学入学試験として「情報」を出題するためには,出題する大学側と,受験する高等学校側で,出題内容や範囲,用語などの共通な知識体系が必要であるが,情報科は他の教科に比べて歴史が浅く知識体系は十分に確立されていない.そこで,本研究では,用語ベースで情報科の知識体系を明確化することを目指す.情報科の検定済教科書全冊を対象として,索引に現れる用語を元に,用語の集計,分類,用語間の関係の設定,用語の学習レベルの設定を行っている.また,得られた用語情報を管理するための知識体系管理システムを開発する計画である.発表では,現状での研究の進行状況を述べ,今後の方向性について検討する.
著者
脇阪 昇榮 中谷 多哉子 村上 祐子 辰己 丈夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.7, pp.1-8, 2015-10-03

中高生に情報に関する授業を行う目的として,論理的思考力を習得させることは極めて重要である.論理的思考を鍛える一つの題材として,総てのコンピュータの元となった万能チューリング機械をとりあげてみた.万能チューリング機械の振る舞いは難解であるが,筆者オリジナルの表記法にもとづき,できるだけわかりやすい形で示した.
著者
一上 さおり 辰己 丈夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2020-CE-155, no.2, pp.1-9, 2020-05-30

スマートフォンの普及により子ども達は低年齢からインターネットにいつでも繋がることができる状況にある.報告者らは IAT(Internet Addiction Test)をもとに SNS とゲームに特化した SGAT(SNS Game Addiction Test)を作成し,テストを行うことで自身の SNS やゲームのしすぎを自覚させることができるかを調査した.本報告ではその調査概要の報告と,香川県で 2020 年 3 月に制定された「ネット・ゲーム依存症対策条例」に対するパブリックコメントやネットを中心とした批判について考察する.
著者
岡本 雄樹 辰己 丈夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-151, no.3, pp.1-5, 2019-09-28

JavaScript は教科 「情報」 の教科書でも採用されており,教育現場での実績が豊富な言語である.文部科学省が 2019 年 5 月に一時的に公開した教員研修資料でも掲載が決まっているが,プログラミング部分は Python のみが先行公開され,JavaScript による研修教材の公開は延びている.研修教材の公開が更に遅れたり,万が一不十分な形で公開されたりした場合,既に JavaScript 言語でプログラミング教育を行っている学校や地域は不利益を被ってしまう.そこで,研修資料をJavaScript 言語で実施する上でのサンプルコード作成や課題と解決方法などを検討して論じたい.
著者
山根 信二
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2021-CE-158, no.6, pp.1-6, 2021-02-06

世界保健機構 (WHO) は ICD-11 (「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」第 11 回改訂版) において,新たに gaming disorder (ゲーミング障害, ゲーム障害) の分類基準を収載した.この国際統計分類の発効を前にして,大きな波及効果が起きている.海外では新たな論争が起き,国内でも,香川県議会の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」は全国的な注目を集めるとともにゲームの効用をめぐる社会的な分断が明らかになった.本発表では,まずゲーミング障害をめぐる分断の背景を明らかにする.次にゲーム開発を地域の教育目的に活用する立場から,香川県条例のパブリックコメント期間中に開催されたゲーム開発イベント「Global Game Jam 2020 Setouchi in Kagawa」における準備と,そこで得られた学びについて報告する.
著者
吉田 葵 伊藤 一成 阿部 和広
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-134, no.12, pp.1-10, 2016-02-27

青山学院大学では,2015 年前期 (4 月から 8 月) に,社会情報学部 1 年次必修科目として 「社会情報体験演習」 を開講した.この授業科目の目的は,構築主義を背景としたフィジカル・コンピューティングを通して,プログラミングの知識や技術を身に付けるだけでなく,主体的に学ぶ姿勢を身につけることである.授業では 「(教師は) 教えない」 を合言葉とし主体的に学ぶことを促した.また,学生の興味を惹き,アイデアを引き出せるよう,センサーボードをはじめとした様々なアイテムを提示し,自らのアイデアを形にするという体験を提供した.本稿では,授業設計について報告するとともに,履修学生に対するアンケート結果及び成果物から,技術の習得及び学ぶことに対する意識の変容について考察する.
著者
赤澤 紀子 赤池 英夫 柴田 雄登 角田 博保 中山 泰一
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-169, no.16, pp.1-7, 2023-03-04

共通教科情報科は,2003 年に「情報 A」,「情報 B」,「情報 C」の選択必履修から始まり「社会と情報」と「情報の科学」の選択必履修を経て,2022 年に「情報Ⅰ」(必履修 2 単位)と,2023 年「情報Ⅱ」(選択 2 単位)となった.これまで,情報の科学的理解に重きを置いた科目「情報 B」「情報の科学」が設置されていたが,他の科目と比べ履修の割合が少なかった.しかし「情報Ⅰ」は高校生全員が履修するため,これから「情報」を履修するすべての高校生が情報の科学的理解に重きを置いた学習を進めることになる.共通教科情報科は,小・中・高等学校の各教科等の指導を通じて行われる情報教育の中核の教科の一つであり,隣接する中学校技術・家庭科や,高等学校の他の教科と連携することで,より効果的な学習ができると考える.そこで,本研究では,教科書の索引の用語の着目して「情報Ⅰ」と数学,中学校技術・家庭科の用語の比較を行い,科目間の関係について調査分析を行い,高等学校の科目間の関連,中学校と高等学校のつながりについて述べる.
著者
井手 広康
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2022-CE-163, no.14, pp.1-7, 2022-01-29

令和 4 年度から始まる「情報Ⅰ」の教科書に Python,JavaScript,VBA,Scratch の四つのプログラミング言語が使用されたことから,多くの学校がいずれかのプログラミング言語を使用して授業を行うことになる.本研究では,クラスごとに四つのプログラミング言語を使い分けて同じ内容でプログラミング教育を実践し,最後に大学入学共通テスト「情報」サンプル問題の第 2 問「プログラミング」を全員に解答させた.サンプル問題の解答結果や事後アンケートの結果から,どのプログラミング言語を授業で使用していても,共通テスト「情報」を解答する上で大きな影響がないことが明らかとなった.ただし,Scratch については他のプログラミング言語と比較して解答に時間を要することが予測されるため,共通テスト「情報」の DNCL に慣れるための演習が必要であると考える.
著者
天野 由貴 隅谷 孝洋 長登 康 稲垣 知宏
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-152, no.19, pp.1-6, 2019-11-08

広島大学では,学部新入生必修科目 「大学教育入門」 を開講している.その全 15 回のうち 1 回の 「アカデミック・プレゼンテーション」 の章で,反転授業をおこなっている.本研究では,事前学習動画で人物が映っていて説明しているものと,スライド映像に音声をつけているだけのもの 2 種類を用意し,新入生を約半分に分けて提供した.その視聴行動や小テストの得点にどういう影響を与えたかを比較した.
著者
上田 磨歩 鈴木 裕利 山下 隆義 板井 陽俊 石井 成郎
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2017-CE-139, no.17, pp.1-6, 2017-03-04

著者らは,これまでペア活動によるプログラミングの授業に関して様々な評価,分析,および,改善を行ってきた.本稿では,授業の改善によって確認された学習行動の変化に着目して評価した.具体的には,モデリング,および,プログラミング活動に関する分析の結果について報告する.
著者
内田 早紀子 松村 敦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-147, no.9, pp.1-5, 2018-11-24

2020 年度から小学校でプログラミング教育が必修化される.暗記型のプログラミング教育では,小学生がプログラミング的思考を習得することは困難とされている.そこで,小学生にとって身近な日常の活動を題材としたプログラミング的思考育成ツールを開発した.小学校 2 校で利用実験と評価を行ったところ,プログラミング的思考の向上の効果が異なった.これは,プログラミング的思考の評価方法の違いが大きく影響している可能性がある.また,ファシリテーターの教え方に差があったため統制された評価になっていないことも一因と考えられる.アンケートでは,参加者の約 8 割の子供から楽しく学習でき,ツールは使いやすかったと回答があり,本ツールは小学生が利用するのに適している事がわかったが,約 3 割が難しいと感じていた.子供たちの理解に合わせた動きや事象と問題のレベルの設定については,再度検討する余地がある.
著者
豊福 晋平
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2017-CE-142, no.26, pp.1-4, 2017-12-01

Open Data Index 等オープンデータに関する国際ランキングには教育領域も含まれている.しかしながら日本の教育分野のオープンデータ活用に対する評価は必ずしも高くない.本論では,各種国際ランキングでの評価状況,オープンデータの整備状況,活用方法の課題と解決方策についてまとめる.
著者
角田 博保 石畑 清 中谷 多哉子 Hiroyasu Kakuda Kiyoshi Ishihata Takako Nakatani
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. コンピュータと教育 (CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-132, no.39, pp.1-12, 2015-11-27 (Released:2016-12-14)

2013 年 12 月,米国にて ACM/IEEE-CS によるコンピュータ科学カリキュラム標準 CS2013 が公表された.それまでの標準だった CC2001 の刊行後 10 年以上が経ち,その後継として作成されたものである.日本では,情報専門学科カリキュラム標準 「J07」 が 2008 年に公表されているが,現在,改訂への活動が始まりつつある.J07 は,CC2001 を元として作られたものであるので,CC2001 が CS2013 にどのように改訂されたかを知ることは重要である.本報告では,CS2013 と CC2001 を比べ,知識体系 (BOK) を中心に,どのように改訂されたのかを比較,考察する.
著者
中山 泰一 中野 由章 久野 靖 和田 勉 角田 博保 萩谷 昌己 筧 捷彦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-135, no.9, pp.1-7, 2016-06-25

情報科の教科担任の現状を明らかにするため,筆者らは臨時免許状の授与と免許外教科担任の許可の状況を調査してきた.情報科では,臨時免許状や免許外教科担任が多用されている.また,普通免許状の保有者でも半数以上の教員が他の教科を担当している状況である.
著者
永松 礼夫 中山 泰一 山本 真司 近藤 宏樹 中野 由章
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-135, no.7, pp.1-4, 2016-06-25

情報教育について高等学校教育と大学教育の接続が関心を集めているが,大学入試においても教科 「情報」 に関連する内容や考え方を問う問題が,受験科目としては数学・英語・国語・理科・社会などの情報以外の科目で出題されるケースが多くなっている.本発表では,昨年と今年の大学入試で出題された教科 「情報」 に関連する問題の調査を行った.これらの問題は大別して,(1) 内容が教科 「情報」 に関連する―インターネット・ソーシャルメディア・モデル化・データ分析・2 進数を扱ったもの,(2) 情報を活用した問題解決の要素を含む―図表・グラフ・写真などから情報を読み取る作業が要求されるもの,(3) 情報の整理・表現・発信を行う―与えられた資料や自分の知識を統合して意見を発信するようなもの,に分類することができた.また教科 「情報」 の新しい学習指導要領案では,情報の活用や発信にも重点が置かれているため,現行の指導要領ならびに新学習指導要領案の各項目と出題内容との対応関係についても調査した.