著者
鈴木 智草 宇津木 成介
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-11, 2010 (Released:2014-07-03)
参考文献数
22

本研究では、公共閉所空間としてエレベーター室内を想定し、そこにおける音楽の有無と男子同乗者の有無が女子実験参加者の主観的不安と心拍数および居心地感に与える影響を測定した。実験1では、実験参加者の意思で自由にエレベーターから出られる状況を設定した(高自由度条件)。その結果、音楽の影響は見られなかったが、居心地感に対する同乗者の影響が見られた。実験2では、5分間エレベーターに入っていなければならないという、低自由度条件で実験を行ったところ、音楽によって心拍数の増大が抑制された。実験3では同乗者条件、音楽条件に加えて、状況の自由度の条件を設定した。その結果、高自由条件では、音楽が実験参加者の不安を低減させ、同乗者の存在は居心地を低下させた。低自由度条件では、同乗者の存在によって実験参加者の居心地は上昇し、また音楽は心拍数の増大を抑制した。これらの結果から、BGMには女性搭乗者の不安や居心地を改善する作用のあることが認められたが、その作用は同乗者の存在および状況の自由度によって異なっていた。