著者
鈴木 由紀乃 小林 康江
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.251-260, 2009 (Released:2010-04-06)
参考文献数
23
被引用文献数
6 10

目 的 出産後から産後4ヶ月間の母親としての自信を得るプロセスを明らかにすること。対象と方法 産後4ヶ月の初めての育児をしている母親10名を対象に半構成的面接によりデータ収集を行った。得られたデータは,逐語録化し,データ収集と分析を平行して行う継続比較分析を行った。母親の「子どもの求めることがわかるようになった」「子どもの求めることに対応できるようになった」という体験を中心に,母親としての自信を得るプロセスに関連があると思われるデータを抽象化しカテゴリーを導き出し,カテゴリー間の関係を検討した。結 果 母親としての自信を得るプロセスを構成する5つのカテゴリー【試行錯誤しながら子どもと自分に合わせた育児方法を確立する】【子どもの成長と自分の成長の実感を得る】【この子の母親であるという実感を得る】【育児優先の生活に家事を組み込み生活を新たに構える】【自分に確証を得るための拠り所を求める】が抽出された。産後4ヶ月間の母親としての自信を得るプロセスは,試行錯誤しながら自分なりの育児方法を確立していく中で,子どもの成長とその子どもの母親であることを実感しながら,家事と育児を両立させ,生活を再構していくプロセスであり,それらは他者からの確証を得ることで支えられていた。結 論 母親は試行錯誤する育児の中で,子どもの成長を実感することから,自分自身の成長と母親であることを認識するようになる。また,育児中心の生活から家事も行えるようになるという行動範囲の拡大から自己の成長の実感は強まる。母親としての自信を得るプロセスの援助として,育児技術の獲得に対する支援だけではなく,子どもの成長や母親自身の成長の変化を気付かせる関わりの重要性が示唆された。