著者
鈴木 良香 結城 美智子
出版者
一般社団法人 日本在宅医療連合学会
雑誌
日本在宅医療連合学会誌 (ISSN:24354007)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.9-18, 2022 (Released:2022-09-14)
参考文献数
19

本研究の目的は福島第一原子力発電所事故による避難生活で認知症高齢者を在宅介護する家族の生活状況と精神的健康を検討することである.全住民が避難指示による避難を長期継続している福島県A町の協力を得て,避難住宅で在宅介護している家族介護者79名を対象として,個別訪問による面接調査を行った.被介護者は約7割が避難後に要介護認定を受け,認知症の診断を受けている者は約3割であった.対象者は半数以上が女性の高齢者であり,心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorde:以下,PTSD)疑いは約3割で,避難住居形態別の有意差はなかった.介護負担感得点は,持ち家群が仮設住宅群より有意に高かった.結果から,長期避難生活中の在宅介護を担う家族への支援の必要性が示唆された.