著者
鈴村 友宏
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.589-592, 2010
被引用文献数
2

当院では、2003年よりオーダリングシステムを導入し、採血スピッツは採血管準備システムにより管理されてきた。時間内の検査オーダに関してはシステム的に管理されていたが、時間外については対策が不十分であった。オーダ変更時の伝達不足による検査漏れや余剰検査の実施などのインシデント・アクシデントが月に 2 件程度発生しており、年に 1 件程度、重大なアクシデントにつながりかねない患者の取り違い事例も発生していた。<br> この問題を解決するにあたりセーフティマネジメントチーム(safety management team:以下、 SMT と略) および、 その下部組織である SMT ワーキングを中心に採血認証システムの導入計画を進めた。SMT ワーキングは看護師、コメディカル、事務から成り、医療安全に関わる組織横断的で実践的な活動を行っている。<br> 本システムの導入計画においても、看護師、コメディカル、事務からも多角的な意見を出し合いながら、 SHELL 分析による現状の問題点の抽出を行い、 システム化における目標を明確化した上で、医療安全と業務の効率化について配慮したシステムの構築を行った。<br> 結果として、システム導入後の採血に関するインシデント・アクシデントは、導入前後を各 5 ヶ月間で比較すると12件から 2 件に減少した。又、採血業務における一連の作業行程の効率化により、1 日あたり約190名の採血対象患者の準備作業が、約25名の準備作業となり業務量が約86%削減された。このことからもシステム導入によって最大限の効果が得られたと考える。