著者
銭谷弘
出版者
水産庁瀬戸内海区水産研究所
雑誌
瀬戸内海区水産研究所研究報告 (ISSN:13448579)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-45, 2001-03
被引用文献数
4

本研究では「マイワシの資源量の増加に伴い観測された産卵場面積の拡大が再生産機構に影響を及ぼし,マイワシの資源変動様式の一端を担っている」ことを作業仮説とし,この作業仮説を実証していくことを目的とした。また,水産生物資源の管理において実用上重要な意味をもつ親魚資源量や新規加入量を産卵場面積をもとに簡便に予測可能か否かを検討した。 本研究では,マイワシ資源の大変動の主体となっていると考えられる冬春季に黒潮域周辺を産卵場とする群を研究対象とし,それらの産卵場である九州西岸~関東沖の黒潮およびその周辺海域における現場観測と資料解析,飼育実験を実施した。
著者
河野 悌昌 銭谷 弘
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.636-644, 2008-07-15
被引用文献数
4 8

1980〜2005年の瀬戸内海におけるカタクチイワシの産卵量を月別海域別に推定した。瀬戸内海の年間産卵量は1993年の153兆粒から2002年の1,146兆粒の間で変動し,主産卵期は5〜9月であった。年間産卵量は伊予灘で最も多く,単位面積当たりの年間産卵量は大阪湾で最も多かった。カタクチイワシ卵は表層水温7.9〜31.7℃の調査点て採集されたが,16.0〜28.9℃の調査点においてより高い頻度で採集された。5〜9月における平均表層水温と合計産卵量の間には有意な正の相関関係が認められた。