著者
森山 卓郎 鍋島 惠美 斎藤 真由美 村田 眞里子 櫨山 ゆかり 小川 陽子 高野 史朗 光村 智香子 田中 琢也
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
vol.115, pp.27-45, 2009-09

葛藤場面の写真から事態をどう見取るか,そしてどのような対応をするのかを学生(教育実習未経験),保護者,幼稚園の教員,保育園の保育士,において調べた。その結果,「可能性のある事態」,「最も可能性の高い事態」としても,幼稚園の教員は「事故」と考える割合が低く,学生は高かった。ここから,学生は事態をどう見るかの観点が獲得できていないと言える。次に,対応についても調査したが,「見守る」という対応をとったのは幼稚園の教員に有意に多く,学生に有意に少かった。同じ場面に対しても学生と幼稚園教員とでは対応が違うと言える。子どもが「仲よく」という発言をしていたという仲裁の場合は,「そうだね,仲良くしようね」といった介入は幼稚園の教員には有意に少なく,保護者に有意に多かった。以上から,幼稚園教員には直接的な介入を少し控えて,子どもたちの自立的な発達を促す傾向が読み取れる。こうした様々な「見方」を意識化することは教育実習での学びをより深くするためにも有益だと思われる。Using questionnaires, we studied how students, parents, kindergarten and nursery school teachers judged a situation in a photo showing conflict between 9 children. We found that students tended to judge the scene as an accident, while kindergarten teachers did not. From a management point of view, kindergarten teachers tended to "monitor the situation," while students did not. In case in which a child tried to mediate other children's conflicts, parents agreed with and enforced the mediation, while kindergarten teachers did not. Generally speaking, kindergarten teachers try to refrain from intervening with the intent of nurturing children's self-management.