著者
進藤 英朗 鍬崎 賢三 立川 利幸
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.159-162, 2019-12-20 (Released:2020-02-20)
参考文献数
11

下関市立しものせき水族館では2001年のオープンから約18年間,飼育鯨類20頭(バンドウイルカ12頭とスナメリ8頭)のうちスナメリ1頭の血液培養から豚丹毒菌Erysipelothrix rhusiopathiaeが陽性となった以外に同菌の発生記録はない。また,2018年4月時点で飼育していた飼育鯨類12頭の血清の豚丹毒菌生菌発育凝集反応による抗体価はすべて16倍未満であった。その一方,2018年2月時点に使用中であった冷凍餌料(カラフトシシャモ,ホッケ,マサバ,マアジ)からは豚丹毒菌特異的遺伝子断片が検出されている。当館では解凍後の餌の冷蔵保存に中性電解水を用いており,同菌の増殖抑制に一定の成果を挙げていた可能性が考えられた。