- 著者
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鎌倉 芳信
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.4, pp.12-21, 1990-04-10 (Released:2017-08-01)
泡鳴が北海道放浪から帰って知り合い、同棲、結婚する遠藤清子は、同棲直後、青踏運動に参加する。泡鳴は清子の手前、彼女の行動を理解し、青踏運動も支援するが、実際には泡鳴は、「新しい女」達の考えにはほど遠い旧思想の持ち主であった。そのため、この時書かれた「毒薬を飲む女」は、表面を新しい思想で装った自己に遠慮して、本当の自分の姿を明らかにしない、いわゆる<追求不尽>の作品として終わっている。