- 著者
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長 晴彦
吉川 貴己
大島 貴
- 出版者
- 日本外科代謝栄養学会
- 雑誌
- 外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.6, pp.295-300, 2018-12-15 (Released:2019-02-01)
- 参考文献数
- 31
胃外科領域では,術前の肥満やサルコペニアなどの身体的特徴が,術後合併症などの短期成績や,生存期間にも影響することが判明している.さらに,術前化学療法に伴う筋肉量・心肺機能の低下や,術後の体重減少・QOL低下,高度体重減少に伴う術後補助化学療法のコンプライアンス低下など,治療に伴う身体機能の低下が及ぼす影響も報告されている.こうしたデータを背景に,身体的特徴や治療中の身体機能の変化は,特に集学的治療の観点からは,後続治療に影響を及ぼし,最終的に治療成績を低下させうる要因と認識されつつある.最近になり,術前リスク低減による短期・長期成績の改善や,術後のQOL低下の抑制効果などを目的とした運動療法の試みも始まってはいるが,標準的プログラムが確立していないこと,医療機関での設備や人員不足など,実臨床への導入にはまだ課題も多い.