著者
井上 一彦 山口 一郎 佐藤 勉 野村 義明
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

原発事故の汚染の成人への影響を調べるために, 本研究に賛同が得られた全国歯科診療所施設に資料(研究計画説明書,同意書)と収集ビンの配布を実施し,ヒト第三大臼歯を収集継続中である(約300本,令和2年7月31日現在).今回,新たに原発事故作業所等(経験者含む)も収集場所に加えた.これらの方法により,日本人永久歯(特に第三大臼歯)を収集し, 生年別,地域別(特に被災地及び原発事故作業従事者及び経験者)の成人永久歯への放射性核種(90Sr,238Pu,239+240Pu,134Cs,137Cs)の蓄積を明らかにし,乳歯や既存のデータ等,被災地域土壌,被災牛の汚染された歯のデータと比較検討する.
著者
河原 慎之輔 佐藤 勉 白井 順也 沼田 幸司 羽鳥 慎祐 谷 和行 玉川 洋 湯川 寛夫 利野 靖 益田 宗孝
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.356-362, 2020 (Released:2021-09-01)
参考文献数
15

症例は80歳女性.腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.腸炎の診断で腸管安静を指示され帰宅した.その後嘔吐・腹部膨満も自覚したため再度受診した.再受診時の腹部CTで腹水・腸管浮腫が出現しており,虫垂炎手術の既往もあるため癒着による絞扼性腸閉塞の可能性も考え,緊急開腹術を施行した.術中所見では回腸末端より10cm口側部に固い腸管内容物を触知し腸閉塞の原因となっていた.内容物はバウヒン弁を通過できなかったため小切開にて摘出すると線維性食塊であった.口側腸管にも同様の食物残渣を多量に認め可及的に排出し,切開創を縫合し終了とした.術後の問診でドライフルーツのリンゴを摂取したことを確認した.ドライフルーツが原因となった食餌性腸閉塞の症例は,本邦では自験例のほかに2例の報告を認めるのみと非常に稀であるが,食餌性腸閉塞の鑑別としてドライフルーツも念頭に置く必要があると考えられた.
著者
佐藤 勉 中村 豊 齋田 淳
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.7_463-7_473, 2015 (Released:2015-12-25)
参考文献数
12

我々がローマにあるコロッセオの常時微動を1998年に本格的に測定してから15年以上が経過した。2013年には、そのうちの一部を再計測する機会に恵まれた。再計測したのは、1354年の地震でも崩壊せずに残った北側最外壁の地上階から最上階までである。地上階を除き15年前とほぼ同じ位置で計測できたので、以前の測定データも改めて今回の計測データとともに解析して、両者を比較した。その結果、概ね同様な伝達スペクトル形状となったが、明らかな相違も検出されたので、これらについて報告する。
著者
佐藤 勉 田中 とも子
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

水道水のフッ化物濃度調整(fluoridation)があり、公衆衛生学上優れたう蝕予防法である。わが国においても、地域住民の合意等を前提にfluoridationの実施が可能となった(2000年、厚生労働省)。国内では安全な水の供給に関心が高まっており、浄水器を設置する家庭が増加している。したがってfluoridationが実施された場合、浄水器通過後のフッ素(F)濃度を検討する必要がある。本研究では家庭用浄水器に多く使用されている2種類の濾材を用いて浄水装置を作製し、F濃度に及ぼす影響を検討した。家庭用浄水器の濾材として用いられている活性炭フィルターと中空糸膜フィルターを用いて、簡易浄水装置を作製した。NaFを純水および水道水に添加し、種々のF濃度(0.1〜10mg/L)の試験溶液を調製した。ついで浄水装置通過後の試験溶液とフィルター中のフッ素濃度を測定した。活性炭フィルターを用いた浄水装置通過後のF濃度は、すべての試験溶液で通過量10Lまでは通過前のおよそ1/10の濃度であった。その後通過量が多くなるにしたがって、F濃度は上昇した。中空糸膜フィルターを用いた浄水装置では通過前後のF濃度に変化がみられなかった。実験終了後の活性炭フィルター中に高濃度のFが含まれていた。以上より、活性炭フィルターを使用した家庭用浄水器はfluoridation後の水道水中のF濃度に影響を及ぼすことが明らかになった。従って、fluoridationによるう蝕予防効果を確実にするためには、使用する浄水器の種類を考慮する必要があることが明らかにされた。なお、F以外の陰・陽イオンについては、Cl、MgとCaは活性炭フィルターと中空糸膜フィルターに吸着されることが示された。その他のイオンについては明確な結果が得られなかった。
著者
佐藤 勉 林 賢紀
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.338-347, 2004 (Released:2004-08-01)
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

農林水産研究情報センターにおいては,年々増加するWeb上の農林水産関連の情報資源に対し効率的なアクセスを可能とするため,また農林水産省試験研究機関等で発信する研究成果などの情報について,誰でも容易にアクセスできるよう,農林水産研究情報に特化した検索システムや,これらの情報を整理したディレクトリシステムを開発し,運用している。また,消失しやすいWeb上の情報を保存することで,永続的なアクセスを確保し価値の高いデータや研究成果を安定して提供するため,Webアーカイブの構築を行っている。
著者
佐藤 勉
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.5-19, 2014-07-25 (Released:2015-08-24)
参考文献数
12
著者
佐藤 勉
出版者
社会・経済システム学会
雑誌
社会・経済システム
巻号頁・発行日
vol.1, pp.12-20, 1983

It is held generally that the theory of "life-world" is not compatible with system theory. This view shows that sociology fails to explain fully the interrelations of action and "Hand-lungszusammenhang" i. e. social order. As to Parsons, his theory is said to have remained aloof from the phenomenological concept "life-world". For example, according to J, Habermas, Parsons lacks any adequate concept equivalent to life-world, which is based on intersubjective communication. But is this true? In my opinion, Parsons' system theory does contain the conception of life-world. He cannot, however, integrate this conception with system theory. Recently, J. Habermas, in his attempt to conceptualize society as life-world, uses this concept as complementary to that of communicative action. Proceeding along this path, he comes to conceive of society as the synthesis of "social integration" and "system integration". In contrast, N, Luhmann asserts that life-world is adequately comprehended in terms of system theory. From this perspective, which is based on the paradigm change of system theory, he intends to grasp the interpenetration of individual and social system based on this change. I think that his basic conception concerning system makes possible a new approach to life-world.
著者
中村 豊 佐藤 勉
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.225-228, 2001

1999年-2000年にかけて、メキシコシティにおいて地盤や被災程度が異なる地域の地盤および構造物の常時微動を比較的稠密に計測し、卓越振動数や地震動増幅倍率、被災しやすさ等を調査した。メキシコシティは、1985年ミチョアカン地震で大きな被害を受けている。調査の結果、地盤の卓越振動数Fgや地盤の被災しやすさ指標Kg値は、丘陵部、遷移部、堆積部の地盤区分や1985年を含む過去の地震被害状況と調和的な変化を示すことが確認された。また建物に関しては、1985年の地震後の調査結果と比較した。<BR>本研究では、発生が恐れられている地震に備えて的確な耐震診断技術を確立することを目指している。
著者
金森 昌彦 佐藤 勉 島 友子 齋藤 淳一 Gabor Andocs 近藤 隆
出版者
Japanese Society for Thermal Medicine
雑誌
Thermal Medicine (ISSN:18822576)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-14, 2021-03-31 (Released:2021-05-06)
参考文献数
40

Modulated electro-hyperthermia(略称mEHT),別名“オンコサーミア”は癌温熱療法における新たな治療法である.mEHTは腫瘍の温度上昇を治療に利用する点は通常のハイパーサーミア(癌温熱療法)と同様であるが,幾つかの異なる特長を有する.例えば,正確なインピーダンスマッチングを図る点,振幅変調した13.56 MHzラジオ波(RF)を用いた容量結合型加温である点,腫瘍内温度はいわゆる“マイルドハイパーサーミア”水準の<42 ℃に維持される点,腫瘍細胞膜に連続的な温度勾配を生じさせる点,等である.これによる細胞膜の不均一かつ非平衡な加温は腫瘍細胞のプログラム細胞死(アポトーシス)を誘発するとされる.また低出力のRFを用いるため火傷等の副作用も少ない.従って,mEHTの治療効果を考える場合には,熱作用のみならず,非熱作用(温度上昇に依存しない)の生物効果を考慮することが臨床的にも重要である.サース教授による“Oncothermia: Principles and Practices”が出版された後にも基礎,前臨床研究および臨床結果が数多く報告された.この総説では,最近の知見をまとめ,mEHTの課題と将来に向けたさらなる臨床応用の可能性について考察する.
著者
中村 豊 佐藤 勉 齋田 淳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00260, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
13

構造物などのヘルスモニタリング手法として,波動伝播速度や減衰定数を観測波形から直接リアルタイム計測できるCERS法がある.これをダム堤体の一部であるスラストブロックの物性値計測に適用した.対象は仙台市青葉区の大倉ダム(1961年に建設された日本唯一のダブルアーチダム)であり,竣工後50年の2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の際にも特に被害は報告されていない.公開されたアーチ間のスラストブロック頂部および点検坑道内の強震記録により,観測点間の波動伝播速度をCERS法により直接測定し,物性の変化を検討した. その結果,Mw9.0の強震動でスラストブロックの剛性が約6割まで低下し,記録終了時には約7割に回復したことが確認されるなど,物性値の変動や減衰に及ぼす貯水位の影響等が把握できた.
著者
中村 豊 佐藤 勉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1341-1344, 2001 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

1999年8月17日のコジャエリ地震 (Mw7.6、イスタンブール市基盤で最大加速度41Gal) の発生前と後において、イスタンブール市内にあるスレイマニエ寺院、アヤソフイア博物館、シェザーデ寺院、および完成直後の14階建オフィスビルの常時微動調査が実施された。地震前後の測定を比較した結果、最大9%(HS) の固有振動数の変化が検出された。地震前の常時微動測定結果から推定される建物の地震被災危険度avKb値は固有振動数の変化とよく対応しており、建物の危険度をavKb値やKb値により事前に的確に把握できるものと期待される。
著者
利野 靖 湯川 寛夫 山田 六平 佐藤 勉 稲垣 大輔 藤川 寛人 長谷川 慎一 大島 貴 吉川 貴己 益田 宗孝 今田 敏夫
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.62-66, 2013 (Released:2014-02-28)
参考文献数
9

【目的】十全大補湯は病後の疲労倦怠,食欲不振,貧血に処方される漢方薬の一つである.再発胃癌の抗癌剤治療中の白血球減少,貧血,食思不振に悩んでいた症例に十全大補湯を処方したところ改善した症例を経験した.そこで胃癌の診断で抗癌剤治療を施行した症例で十全大補湯を処方した症例をretrospectiveに解析し,抗癌剤の副作用の発現率を検討することとした. 【対象と方法】進行再発胃癌の診断で抗癌剤治療を施行した症例で31例に十全大補湯を処方した.抗癌剤の副作用発現と,十全大補湯の副作用について検討した. 【結果】十全大補湯が不味くて飲めない症例が1例.17例の血液毒性では,11例(64.7%)でGradeの低下がみられ,有効と判定した.10例の非血液毒性(食思不振,倦怠感など)では,7例(70.0%)で効果がみられた. 【結語】抗癌剤治療の副作用に十全大補湯は有効であることが考えられた.
著者
吉川 貴己 青山 徹 林 勉 山田 貴允 川邉 泰一 佐藤 勉 尾形 高士 長 晴彦
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.205-211, 2015 (Released:2016-02-25)
参考文献数
22
被引用文献数
4 2

胃癌手術後には,手術侵襲,術後合併症,術後後遺症などによって,体重が減少する.体重と脂肪量は術後,継続的に減少していくが,筋肉量は3カ月以降増加に転じる.術後1 カ月での体重減少率15%以上は,術後S-1継続の危険因子と報告されたが,ERAS管理など最新の管理によって体重が維持されるようになり,その意義は薄れてきている.一方,新規に報告された術後1カ月での除脂肪体重減少率5%以上は,術後S-1継続の新たな危険因子として,鋭敏な指標である.術後の筋肉量維持には,術後合併症の予防,手術侵襲の制御などが重要であろう.術前運動療法や手術侵襲の軽減を期待した腹腔鏡手術の効果はControversialである.現在,EPA強化栄養療法や,グレリン投与,投与カロリーの増強などの介入研究が臨床試験として行われている.
著者
鴨井 久博 小倉 喜一郎 佐藤 勉 丹羽 源男 鴨井 久一
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.185-190, 2001-04-30 (Released:2017-12-08)
参考文献数
13

亜鉛(Zn)は必須微量元素の1つで,その摂取不良は成長遅延や免疫低下,味覚異常など多岐にわたる臨床症状を示すことが知られているが,Zn欠乏時の臨床症状の発現機構やZn代謝については不明な部分も多い。このため,本研究では口腔粘膜組織,おもに歯列組織周辺に対するZn欠乏の影響を調べる目的で,生後4週齢のWistar系雄性ラット12匹を対照群とZn欠乏群の2群に分け,特殊精製粉末飼料にて3週間飼育した。その結果,Zn欠乏群において体重増加は対照群に比べ緩やかであり,実験開始2週目ころより腹部,頸部などにおける脱毛がみられ,血清Zn濃度,血清ALP活性ともに価値であった。走査電子顕微鏡観察においては,Zn欠乏群に異物の蓄積や不規則な形態を呈した。また光学顕微鏡観察では今回の実験においてZn欠乏群に歯局組織の変化はみられなかったが,口蓋部における粘膜表層の角化や歯肉境移行部付近から頬粘膜にかけて錯角化が観察された。