著者
長井 栄子
出版者
自治医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

認知症高齢者を対象としてユニットケアを実施している施設における安全なケア提供についての実態を知るため、2009年度に施設スタッフおよび管理者を対象にインタヴュー調査を実施した。2010年度は2009年度の調査で得られた結果をもとに質問紙を作成し、無作為抽出した全国の高齢者施設の管理者・看護師・介護士に対し、質問紙調査(郵送法)を実施した。因子分析を行った結果、「安全なケア提供への工夫と困難」として、"全入居者の安全確保因子"、"職員の資質向上因子"、"多職種間での情報共有・支援因子"などの25の因子が抽出できた。さらに、施設群ごとの因子得点(平均値)を多重比較したところ、ユニットケア実施施設と非実施施設間における有意差は認めなかった。しかしながら、各因子を構成する項目ごとには有意差を認めるものがあるため、今後さらに分析を進め、認知症高齢者を対象としてユニットケアを実施している施設でのケアの特徴を見出す必要がある。